シーズン2
今シーズンでは舞台をニューヨークに移し、物語は思った以上に早い展開を見せます。他のキャラクターの背景も詳細に描かれ、シーズン1では見えなかった面がいろいろと出てきます。特にルーシー・ボイントンが演じるアストリッドや、ゾーイ・ドゥイッチが演じるインフィニティがキーパーソンとして描かれ、良くも悪くもペイトン(ベン・ブラット)の政治家生命を左右する役割を果たします。また、グウィネス・パルトローが演じるジョージーナがよりパワフルになり、何でもアリなキャラクター設定は遊び心満載です(笑)。そして、ニューヨークが舞台となったことで、キャラクター達のファッションも一層華やかになっています。若いキャラクターはもちろん大人の女性達の衣装もすごくファッショナブルなので、そういった点も楽しんでいただけると思います。あとペイトンが歌うシーンが多くありますが、とにかく上手い!ライアン・マーフィーの得意とするファッションや音楽の要素がより一層強く反映されている点でも、今シーズンはバージョンアップしていると言えます。
今シーズンで繰り広げられる、あり得ないことだらけの選挙戦はポリティカル・コメディとして楽しめると同時に、恐らく現実でも近いことが起きているのかも知れないというリアリティもちらっと感じられます。政治家へ抱く理想と現実の両方をバランス良く社会風刺的に描いている点と、若者も政治に関心が持てるようなドラマにしている点でも共感できます。今シーズンも予想外であると同時に今どきな展開で終わったので、続きが気になります。
『ザ・ポリティシャン シーズン2』
2020年6月19日よりNetflixにて配信中
公式サイト
Courtesy of NETFLIX
NICOLE RIVELLI/NETFLIX
Giovanni Rufino/Netflix
TEXT by Myson
シーズン1
タイトルからして政治家の話だとはわかりますが、実は捻りが利いていて、これは将来大統領になろうとしている青年の物語で、シーズン1は意外にも学園ドラマです。主人公のペイトン(ベン・プラット)は、高校生の段階から実績を積もうとしていて、まずは生徒会長を目指します。たかが生徒会長選挙と思いきや、熾烈な戦いが繰り広げられ、ペイトンもライバルもあの手この手で有権者の心を掴もうとします。ペイトンもその友達もライバルもすごく大金持ちなので、大人顔負けの作戦が展開され、それがバカバカしくて可笑しくもありますが、同時に彼らも普通のティーンと同じように悩んでいます。
お金持ちだからといって幸せとは限らず、親の圧力に辛くなっている者や、孤独を抱えている者もいて、見た目とは裏腹な内面を抱えたキャラクター達が等身大で描かれていて、彼らが心に秘めた苦しみに共感を覚えます。そういった彼らの葛藤がドラマチックであり、時に悲壮感を漂わせるのですが、彼らが住むすごい豪邸や、彼らが乗る高級車、センスの良い衣装などとのギャップで、一層切なさが増し、独特なコメディとなっています。あと、ペイトンがすごく歌が上手くて、ふいに音楽で魅せるシーンが出てきたり、『glee/グリー』に通じるところも複数あります。
もちろん、学校の生徒は全員お金持ちというわけではなく、一般家庭の子ども達もいて、さまざまな背景を持った生徒同士のやり取りに、貧富の差や人種差別など、現代社会が抱える問題が投影されている点も見どころとなっています。正直なところ観始めは爆発的におもしろいという感じではないのですが、ジワジワおもしろさが増してきて、なぜだか続きを観てしまう魅力があります。今シーズンを最後まで観ると、序章に過ぎなかったと思えて、いよいよシーズン2からもっと盛り上がるのだなと期待が膨らみます。
『ザ・ポリティシャン シーズン1』
2019年9月27日よりNetflixにて配信中
公式サイト
Courtesy of NETFLIX
Adam Rose
TEXT by Myson