REVIEW

BLUE/ブルー

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『BLUE/ブルー』松山ケンイチ

ボクシング映画はこれまでもたくさん作られてきましたが、この作品はこれまでのボクシング映画のイメージを覆す部分が魅力的です。本作は、吉田恵輔監督自身が30年間続けてきたボクシングを題材に自ら脚本を書き上げて作った作品。1人のボクサーの物語というよりも、ボクシングに何らかの形で携わる人々の群像劇ともいえて、あらゆる目線でボクシングというスポーツ、それに魅了される人々を眺められる作品となっています。
そして、勝ち負けの定義はもちろん、何が正しくて何が間違っているかという枠組でも、既成概念を揺さぶり、人それぞれの生き様を称賛する内容になっていて、優しさが大いに感じられます。男同士の複雑な感情のぶつかり合いが描かれている辺りは、良い意味で男臭くて期待通りであると同時に、ちょいちょい入ってくるユーモラスなシーンは、親近感を湧かせます。本作を観ると、何となくボクシングに魅了される人達の気持ちもわかるような気がしてきます(笑)。普段はボクシング映画を観ませんという方も観やすいと思うので、本作でボクシング映画デビューしてみるのもアリですよ。

デート向き映画判定
映画『BLUE/ブルー』松山ケンイチ/木村文乃

ボクシングというスポーツは命懸けなので、それを傍らで見守るほうも気苦労が多そうですよね。本作にはボクサーと交際している女性も登場するので、彼女目線でも観られます。またボクシングに限らなくても、相手の意志を尊重すべきか止めるべきかで葛藤することは誰にでもあると思います。そんな時は、本作を観ると自分達を少し俯瞰して観られるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『BLUE/ブルー』松山ケンイチ/東出昌大

「カッコ良いって何だろう?」「強いってどういうことだろう?」と改めて問題提起をしてくれる作品です。若い頃はネットやテレビなど外から入ってくる情報の影響もあり、世間一般の物差しであらゆるものを見ていることが多いかもしれませんが、本作を観ると「これでいいんだ」「そういう人もいるんだ」と思えるはず。ボクシングでは負けっぱなしの瓜田(松山ケンイチ)のカッコ良さはどこからくるのかにもぜひ注目してください。

映画『BLUE/ブルー』松山ケンイチ/木村文乃/柄本時生/東出昌大

『BLUE/ブルー』
2021年4月9日より全国公開
ファントム・フィルム
公式サイト

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP