今回もウェス・アンダーソン節が炸裂する期待通りの作品です。何から何まで可愛くて、同時に滑稽で愛おしい。そんな世界観の中で生きるキャラクター達も皆魅力的でクセが強いです(笑)。本作は“確固たる名作”“宣言書の改訂”“警察署長の食事室”の3つの物語で構成されていて、それは「フレンチ・ディスパッチ」という名の雑誌のネタの一つひとつとして語られていきます。
きっと観る方それぞれにお気に入りのストーリーが見つかると思いますが、私はベニチオ・デル・トロ、レア・セドゥが出演している“確固たる名作”が一番気に入りました。冒頭でレア・セドゥのある姿が美し過ぎてまず目を奪われ、その堂々たる佇まい、貫禄に圧倒されます。さらにその貫禄が次なる展開に活きていて、「そりゃ、そうだわ」とか「何でやねん!」な展開が笑えます。“宣言書の改訂”“警察署長の食事室”にも独特のユーモアとオチがあって、シュールでありながらホッコリさせられるストーリーとなっています。
人間の一見残念な面をとても愛おしく描くウェス・アンダーソン監督の手腕によって、今回も結果「人間って、いいな」「人間って可愛い」と感じることができます。キャラクターの衣装やセット、途中差し込まれるイラストそのものが可愛いのはもちろん、ウェス・アンダーソン監督が描く人間が可愛いからこういう世界観が生まれるのだなと実感しました。
そして何と言ってもキャストがスゴい!ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、ジェフリー・ライト、マチュー・アマルリック、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、クリストフ・ヴァルツ、エドワード・ノートン、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン、リーヴ・シュレイバー、エリザベス・モス、ウィレム・デフォー、シアーシャ・ローナン、ルパート・フレンド、セシル・ドゥ・フランス、ドゥニ・メノーシェなど、これでもかといった数の豪華キャストが名を連ねています。これは映画ファンは観ておかないともったいない。ぜひ大きなスクリーンで観て、この世界に没入してください。
ウェス・アンダーソン監督作は好みが分かれそうではありますが、とりあえずオシャレなムードに浸れるので(笑)、デート向きだと思います。カップルで観て気まずいシーンもあまりないので、初デートでも大丈夫でしょう。観る方の年齢を選ばない作品なので、若いカップル、大人カップル、年の差カップルでもOKです。
おもちゃ箱を開けたような可愛くて楽しい世界観は、ティーンの皆さんも気に入るのではと思います。衣装も可愛いし、アイテムも可愛いので、それを観ているだけでテンションが上がる方もいるでしょう。親子で観てもOKですが、友達と一緒に観て感想を述べ合うほうが盛り上がりそうな気がします。
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
2022年1月28日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
©2021 20th Century Studios. All rights reserved.
TEXT by Myson
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