REVIEW

本心【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『本心』池松壮亮

REVIEW

本作は、『マチネの終わりに』『ある男』の原作者、平野啓一郎の同名小説「本心」の映画化作品です。本作の物語の舞台が何年代かは明示されていないもの、映画公式資料によると、原作は2040年代を舞台に書かれたとあります。映画を観ると、近未来の日本ではAI技術がさらに進化していると同時に、死生観を問う重大な法律が施行されているのがわかります。

映画『本心』田中裕子

あまり情報を入れずに、実際にタイムスリップした感覚で観ていただくために、具体的なキーワードを伏せたまま見どころをお伝えすると、一見複数に見えるテーマには「本心って何だろう」「本物って何だろう」という一つの大きな問いが貫かれています。それはアイデンティティの問題でもあり、「人間とは何か?」という話でもあります。そうした重みのあるテーマを、さまざまな切り口で描く構成がまず見事です。だから、さまざまな視点で大きな一つの問いに対する答えを探す感覚で観られます。

映画『本心』池松壮亮

そして、何といっても池松壮亮の演技がスゴい!彼の豊かな感情表現は間違いなく観客を引き込みます。また、母親役を演じた田中裕子の演技にも魅了されます。“表情”が意味する部分が大きいストーリーだけに、その使い分けの巧みな技が光っています。

映画『本心』池松壮亮/水上恒司

とにかく、自分自身のアイデンティティはもちろん、人との関係についてもすごく考えさせられるストーリーなので、今後もふとした時に観返す度に大事なことを教えてもらえそうな気がします。

デート向き映画判定

映画『本心』池松壮亮/三吉彩花

恋愛についても考えさせられる部分があるので、お互いの恋愛観が合うかどうかを試すために観てみるのもアリでしょう。ただし、どこか自分をごまかしながら恋愛をしている感覚がある方は、本作鑑賞を機に心の奥底にあったものが湧き出てくる可能性があるので、覚悟ができたら観てください。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『本心』池松壮亮/田中裕子

自分のアイデンティティや価値観を揺さぶる内容なので、年を重ねるほど心に刺さる部分が大きくなっていくと思います。今一度観ておいて、何年か経ってまた観るというようにすると、自分の変化にも気づけるのではないでしょうか。親子の物語でもあるので、家族と一緒に観ると、普段話しづらい本音を言い合う機会にできるかもしれません。

映画『本心』池松壮亮/三吉彩花/水上恒司/仲野太賀/田中泯/綾野剛/妻夫木聡/田中裕子

『本心』
2024年11月8日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2024 映画『本心』製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「本心」平野啓一郎 著/文春文庫 / コルク
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP