ラブホテルにも時代の変化はあるのかも知れませんが、一般的なホテルとは違って、より人間模様が見える場所というか、秘密の出来事が多そうなイメージがあるので、物語の舞台には打ってつけですね。キャストからしてエッチな映画にはなってなさそうだと想像できますが、全くないのも違和感がありますよね。でもしっかりそういう要素も描きつつ、そこに変に固執しないドラマが描かれていて、ラブホテルが持つ一般的なイメージを払拭するストーリー展開が楽しめます。そこで愛を深める人もいれば、どんどん本当の愛からすれ違ってしまう人もいて、人間にとって性的な結びつきにいろいろなものがくっついてくるからこそ、シンプルに生きられないんだなと実感します。また、このラブホテルでは人が表には見せない顔が見られるので、いかに私達は表面的なところで人を見ているかというとにも気付かされます。ラブホテルってなかなか気軽に行けない場所のように思いますが、本作で疑似訪問してみてください。
やはり舞台がラブホテルということで、エッチなシーンやヌードは出てきます。初デートだとちょっと気まずいと思いますが、何度か映画デートをしたことのあるカップルなら一緒に観ても大丈夫でしょう。何組か夫婦も登場しますが、反面教師として観られるところ、お手本として観られるところとあるので、何らかの刺激を得られるかも知れません。どちらかというと、夫婦または大人カップル向けだと思います。
子どもって、何歳くらいになったらラブホテルの存在を知るんでしょうね(笑)。私の場合は、友達の家の近くにラブホテル街があったので、小学生の頃にそこがどんな場所か知りました。界隈を自転車で通る時、のれんみたいなところをくぐって車が入っていくのを発見すると、友達とギャーギャー騒いでいたのを覚えています。そんなこんなで興味津々な小学生もいると思いますが、PG-12です。ということは小学生は大人同伴で観ることになりますが、「あれ何?」と思うグッズが登場したり、質問されても大人のほうが気まずいと思うので、高校生くらいになってから観てください。
『ホテルローヤル』
2020年11月13日より全国公開
PG-12
ファントム・フィルム
公式サイト
©桜木紫乃/集英社 ©2020映画「ホテルローヤル」製作委員会
TEXT by Myson