最初から最後まで息もつかせぬ緊張感と大迫力で、132分もあっという間です。『GODZILLA ゴジラ』から5年後の世界を舞台に、神話時代の怪獣、ゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンらが目を覚まします。未確認生物特務機関“モナーク”の科学者達が、これまでの経験と自身の価値観をもとに、地球の危機に立ち向かおうとしますが、さまざまな怪獣達が人間にとって敵となるのか、味方になるのかは、もしかしたら人間の捉え方次第なのではというメッセージ性が印象的です。環境問題をテーマにあげているのはもちろん、どこか現代の国家間、人種間も含めた対立と調和を投影しているようにも思えて、いろいろな解釈ができそうな点でも観る層を選びません。
本作はゴジラ、キングコングが登場する怪獣映画を中心とするシェアード・ユニバース“モンスター・ヴァース”のシリーズとして、『GODZILLA ゴジラ』『キングコング:髑髏島の巨神』に続く第3弾となります。3作またはこのうち2作に共通して関わっているスタッフもいれば、ストーリーとしても、本作でコングのいる髑髏島が話題に出てきたり、未確認生物特務機関モナークが3作ともに共通して登場するなど繋がりを持っています。伝説で語られてきた神格化された存在という意味でも、ゴジラ、キングコングには共通点もあり、2020年に公開予定の“Godzilla vs. Kong(原題)”へ続く道筋が着々とつけられています。『キングコング:髑髏島の巨神』のコングの体長は31.6メートルで映像で観るスケールでも相当デカいと思いましたが、今回のゴジラの体長は119.8メートルともっとドデカいので、そのあたりの設定なども変化があるのかそのままなのか、気になる点がたくさんあります。とにかく本作だけ観るのでも、“モンスター・ヴァース”ごと楽しむのも、どちらでも存分に満足できる出来栄えで、なるべく大きなスクリーンで観て欲しいと思います。
シリーズとしては『GODZILLA ゴジラ』から観ているほうが理解も深まりますが、今作から観ても問題なくついていけるストーリーとなっています。ロマンチックな展開はほぼなく、人間達はひたすら怪獣達にどう立ち向かえば良いか右往左往しているので、どんな関係性のカップルが観ても気まずくなることはありません。むしろ、どんな会話をして良いか戸惑っているウブなカップルは、とりあえず本作を観て、映画に集中して、その日をやり過ごしても良いかも知れません(笑)。映画自体の満足度は安定して高いと思われるので、初デートでも大丈夫でしょう。
132分あるので、幼いキッズは集中力が続くか、はたまた途中でトイレに行きたくならないか心配ですが、ハラハラドキドキ、迫力も相当すごいので、長さもそれほど気にならず、小学校高学年以上ならどっぷりこの世界に入り込んで観られると思います。興味を持ったら、昔の邦画版“ゴジラ”シリーズもぜひ観てください。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
2019年5月31日より全国公開
東宝
公式サイト
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TEXT by Myson