REVIEW

家族を想うとき【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『家族を想うとき』クリス・ヒッチェン/ケイティ・プロクター

主人公リッキーには、妻、息子、娘がいて、彼は大黒柱として、マイホーム購入を目指してフランチャイズの宅配ドライバーになります。最初は本人の頑張り次第で稼げると、夢が膨らむような話をされますが、実際に働いてみるとドライバーには負担ばかり。自分の裁量で働けるはずなのに、全然自由もありません。リッキーは、金銭面でも、時間的にも、身体的にも、精神的にも、追い詰められていきますが、その余波はやがて家族にも広まっていきます。日本でも会社に勤める以外のいろいろな働き方が選択肢として選ばれるようになってきて、主人公のような働き方をしている人も増えてきていると思います。またアメリカの配車事業社大手が日本で展開する飲食宅配代行サービスで、配達員らが雇用関係について不満を訴えたニュースがありましたが、本作を観てどの国でも同じようなことが起こっているのだなと感じるはずです。個人って本当に無防備だということを実感させられるストーリーで、一生懸命働こうとしている人でもこんな風になってしまうなら、絶望しかありません。フランチャイジーに限らず、フリーランスの人達も、弱い立場を利用されることは当たり前に経験していると思います。ケン・ローチ監督は『わたしは、ダニエル・ブレイク』でも、国から見放された人々にフォーカスしましたが、本作でも弱肉強食社会を浮き彫りにしています。世の中の現状を知る一つのきっかけになる作品です。

デート向き映画判定
映画『家族を想うとき』クリス・ヒッチェン

お互いの仕事について、家計について、子どもの教育について、夫婦で考えるべき課題が山積みな様子が描かれています。なので、敢えて夫婦で観ると、立ち止まって考えて話し合うきっかけになると思います。またこれから結婚しようと思っている人は、お互いの価値観、今後の見通しなどを話し合うきっかけに観ると良いのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『家族を想うとき』クリス・ヒッチェン/デビー・ハニーウッド/リス・ストーン/ケイティ・プロクター

長男、長女、それぞれの立場で親をどう観ているかという子ども心もリアルに描かれています。普段、親がどんな仕事ぶりをしていて、いくら稼いできているかなんて、あまり考えないかも知れませんが、家族を養うことがいかに大変かがしみじみとわかると思うので、ぜひキッズやティーンの皆さんにも観て欲しいと思います。

映画『家族を想うとき』クリス・ヒッチェン/デビー・ハニーウッド/リス・ストーン/ケイティ・プロクター

『家族を想うとき』
2019年12月13日より全国順次公開
ロングライド
公式サイト

TEXT by Myson

photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019
© Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP