『メッセージ』『ストレンジャー・シングス』の製作陣が手掛けた作品と聞くと、SFだなと想像がつきますが、意外にもベースはギャング映画です。SF的な小物は早い段階で出てくるのですが、それが何にどう繋がっているかは最後まで伏せられていて、そこが本作のユニークなところと言えます。SF感を出し過ぎていない点でも新鮮味があり、大きなトラブルに意図せず巻き込まれてしまう少年のドラマにフォーカスして観ることができて、最後は真相が明かされることで心が救われます。SFにしては派手さは控えめですが、ジャック・レイナー、ジェームズ・フランコ、ゾーイ・クラヴィッツ、デニス・クエイド、マイケル・B・ジョーダンといったキャストの豪華さでカバーできていると思います。本作は最後まで観ると序章的なストーリーにも見えるのですが、続編をいくらでも作れそうな構成で、観終わった後にもっと真相を知りたいという気持ちになるでしょう。ぜひ続編を作るか、ドラマにして欲しいです。
ロマンチックな展開がない分、逆にデートで観やすいとも言えます。SFですが、ベースはギャング映画なので、殺し合いもありますが、バイオレンスシーンは痛々しさを露骨に映していないので、その辺りはあまり心配しなくて良いでしょう。ただ好みは分かれそうなので、初デートではなく、何度か映画を一緒に観て、お互いの好みがわかってから検討したほうが良さそうです。
刑務所から出てきた兄がトラブルを起こし、それに巻き込まれながら、成長していく少年の物語。彼が廃墟で見つけた不思議なものがキーとなり、物語が展開していくのですが、怖い人に知らないうちに追われていたり、とてもスリリングです。鋭い人は途中で、少年とその不思議なものとの関係に何かしら気になる点が見つかると思うので、謎解きの感覚で観ても楽しいでしょう。
『KIN/キン』
2019年11月29日より全国順次公開
キノフィルムズ
公式サイト
TEXT by Myson
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