本作は、田島列島による同名マンガが原作で、『南極料理人』『横道世之介』の沖田修一が監督を務めています。沖田監督がマンガ原作の映画化作品を手掛けるのは今回が初だそうですが、過去の沖田監督作にも通ずる、可笑しくもどこか憎めない人物描写は今回も健在していて、俳優達の演技もいつも以上に光っているように感じます。
物語の主人公は上白石萌歌が演じる高校生の美波で、本作では彼女のひと夏のある体験が映し出されています。美波は一見どこにでもいる高校生ですが、実は過去に親の離婚を経験しており、本当の父親探しをするところから物語が展開していきます。その過程で細田佳央太、千葉雄大、豊川悦司らが演じるキャラクターが登場し、それぞれクセの強い人物を熱演しています。ネタバレになるので詳細は言えませんが、個人的には「この俳優さんがこんなことをするなんて(笑)!」と爆笑した場面もあったので、皆さんもぜひお気に入りのシーンやキャラクターを見つけてみてください。
上映時間は138分ですが、物語のテンポが良いので飽きることなく最後まで観られます。大人なら主人公の学生らしい行動や発想に懐かしい気持ちにもなれるので、ぜひ学生気分に戻ってご覧ください。
等身大の高校生の物語を人間ドラマとして楽しめるので、どんなデートにもオススメです。主人公の美波と書道部のもじくん(細田佳央太)が出会い、仲良くなっていく様子は、大人目線だと可愛らしく見え、学生時代の初々しい感情を呼び起こしてくれるのではないでしょうか。鑑賞後はこれをきっかけにお互いの学生時代の話で盛り上がることもできそうです。
PG-12なのは恐らく子どもの飲酒シーンがあるからだと思いますが、それ以外の部分では皆さんも純粋に楽しめる作品だと思います。笑えるシーンも多いので、基本は気楽に観てOKですが、美波の体験を通して自分自身の在り方を考えたり、家族や友人との関係性を振り返るのも良いと思います。皆さんも美波達のように、今しか過ごせない学生生活を存分に楽しんでくださいね!
『子供はわかってあげない』
2021年8月20日より全国公開
PG-12
日活
公式サイト
© 2020「子供はわかってあげない」製作委員会 © 田島列島/講談社
TEXT by Shamy