REVIEW
本能寺の変にまつわる史実を、大胆にアレンジしたストーリー。北野武は、原作、監督、脚本、編集の他、主演もビートたけし名義で務めています。タイトルからご想像の通り、生首満載のおどろおどろしい内容でありながら、かなりのブラックコメディに仕上がっています。これは真面目な日本史好きの方がどんな反応をするのかドキドキハラハラするレベル。ここまで思い切った内容にするとは、さすが北野武監督だなと感じます。
戦国武将はいろいろな作品で観てきましたが、加瀬亮が演じる織田信長の鬼畜ぶりはこれまで観た中で1番強烈です。他の戦国武将達も個性豊かな実力派俳優が演じていて、キャラが立っている点も本作の見どころです。
武士道を美しく描く作品が多いなか、予想外のキャラクター設定になっていたり、揶揄するシーンがあったり、登場人物がほぼ皆腹黒い点は、悪ノリに見える反面、解釈によってはこれまでの常識や価値観を疑えというメッセージにも思えます。もしくは、暗い世の中を笑って豪快に生きろ、もっと欲張りに生きろということなのかもしれないですね。「答えは作者のみぞ知る」ですが、自由に解釈を楽しんではいかがでしょうか。
性描写や今でいうセクハラシーンもあり、初デートだと少し気まずいかもしれません。そこは大丈夫というカップルで、日本史好きなら、いろいろな意味で会話が盛り上がりそうな内容です。賛否分かれそうなので、意見の相違が心配な方には向いていませんが、議論好きなら会話が弾むのではないかと思います。
基礎的な戦国史を知った上で観ることになる点でも R-15でちょうど良いと思います。ユーモアがあり、首を切り落とすシーンもだんだん慣れてくるとはいえ、観るに耐えられる人、耐えられない人は分かれそうです。いろいろなタイプの映画をたくさん観てから本作を観るほうが良さそうですが、チャレンジしたい方は今観てみて、何年か経ってから再度観てみると感じ方が変わるかもしれません。
『首』
2023年11月23日より全国公開
R-15+
東宝、KADOKAWA
公式サイト
©2023KADOKAWA ©T.N GON Co.,Ltd
TEXT by Myson
本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2023年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。