イタリア出身のマリア・モンテッソーリが20世紀初頭に考案したメソッド(以下、モンテッソーリ教育)は、現在140以上の国に普及しています。Amazonの創業者ジェフ・ベゾスを始め、Google創業者、英国王室のウィリアム王子とヘンリー王子、経営学者のピーター・ドラッカー、アンネ・フランク、藤井聡太棋士なども、モンテッソーリ教育を受けたとされています。本作は、娘が生まれたことで子どもにとってどんな教育が望ましいのかということに関心を抱いたアレクサンドル・ムロ監督が、フランス最古のモンテッソーリ学校に通う2歳半から6歳の28名のクラスを2年3ヶ月にわたり取材したドキュメンタリーです。個性豊かな子ども達の様子を映しながら、モンテッソーリ教育とはどんなものかを、ナレーションで解説していて、日本語版では、向井理が監督のナレーションを吹き替えし、本上まなみがマリア・モンテッソーリの概念を言葉にしたものをナレーションしています。最初から過度に説明していくのではなく、クラスの中で何が起きているのか自然に興味が湧くように撮られていて、最初は子ども達、次に先生達…といった具合に、観る側がその先を知りたくなるように上手く構成されています。
子育てに迷っている方や、乳幼児教育に興味がある人にとってすごく興味深い内容なのはもちろん、子ども達一人ひとりが本当に可愛くて、一生懸命“お仕事”をしている姿を観て癒されるだけでも、観る価値のある作品です。人間誰もがもともと備えている才能は驚くべきものであることも知ることができるので、子どもに対することだけでなく、モノの見方も少し柔軟にしてくれると思います。
結婚して子どもを持ちたいと考えているカップルや、これから子どものことについて考えようとしている夫婦、既に乳幼児の子育てに奮闘している夫婦で観ると、教育方針について話をするきっかけにできるでしょう。価値観や好みに合うかどうかはわかりませんが、こういう方法もあるのだということを知るだけでも有意義だと思います。そして何より子ども達の姿に癒されるので、和やかな空気になるはずです。
根本的に大人目線で、子育て、教育について語られているドキュメンタリーなので、モンテッソーリ教育の云々について理解するのは、キッズの皆さんにはまだ難しいと思います。中学生、高校生くらいなら進路としていろいろな職業について調べたり考えている人もいると思うので、保育、教育系のお仕事に興味がある人は、参考がてら気楽に観るのもアリでしょう。
『モンテッソーリ 子どもの家』
2021年2月19日より全国公開
スターサンズ、イオンエンターテイメント
公式サイト
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TEXT by Myson