REVIEW

胸騒ぎ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『胸騒ぎ』

REVIEW

『胸騒ぎ』というタイトルなので、最初からネガティブな要素にアンテナが立ってしまい、胸騒ぎしかしません(笑)。良からぬことが起きるのは覚悟するものの、どんな良からぬことなのかは予想がつかないままストーリーが進んでいくので、さまざまな想像が掻き立てられます。
登場人物は、デンマーク人一家のビャアンとルイーセと娘のアウネス、そしてオランダ人一家のパトリックとカリン、息子のアーベルです。2つの家族は休暇中に訪れたイタリアで出会い、意気投合します。帰国後、パトリックとカリンからイタリアの思い出の写真が載ったハガキでオランダへ遊びにこないかと誘われたビャアンとルイーセは、悩んだあげく一家でパトリック達の家を訪問することに。最初は再会を喜ぶものの、ビャアンとルイーセは、パトリックとカリンの一見些細な言動に戸惑い始めます。デンマーク人とオランダ人というお国柄の違い、それぞれの家族の価値観の違いなど、そりゃ旅先で意気投合したからといって、合わないところもあるよねという感覚で観ようとするものの、それでもやっぱり何か居心地が悪いと観ている側も感じます。そんな胸騒ぎの正体は何なのか、ただの思い込みなのかどうかが、最後に明らかになります。
クライマックスでは、いろいろな意味で信じられない人間の言動が映し出されていて、彼等にどんな心理が働いているのか考えずにはいられません。この点は別途、心理学のコーナーで取り上げたいと思います。ただ、ここでは1点だけ、明言しておきましょう。本作はある部分では私達誰もが日常で一度は経験したことのある厄介な対人関係をリアルに描いた胸糞映画であり、映画的にも胸糞な展開がある、胸糞映画です(笑)。私の大好物の胸糞映画ということで、本作を観た後はずっと頭から離れません。精神的に健康な時に観てください。

デート向き映画判定

映画『胸騒ぎ』

正直なところ、デートの雰囲気はどんよりしちゃうでしょう(苦笑)。ただ、ビャアンとルイーセの夫婦のやり取りを観て、「自分達ならこうする」など、今後の“作戦”を話し合うきっかけにできるかもしれません。そして、胸糞映画としては鑑賞後に誰かと話したくなる点で会話のネタには困らないでしょう。初デートには向きませんが、2人とも興味があればデートで観るのもアリだと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『胸騒ぎ』スィセル・スィーム・コク

PG-12となっていて、観るなら大人と一緒に鑑賞することが推奨されてはいるものの、かなり衝撃的なシーンもあるので、子どもには刺激が強いです。せめて中学生になってから観るほうが良いでしょう。大人に近づくにつれて、人間関係の範囲が広がっていくことを考えると、世の中にはいろいろな人がいることを知っておいて損はありません。本作を観て、相手がどんな人間かを見極めるタイミング、距離を見直すタイミングをシミュレーションしてみてください。

映画『胸騒ぎ』

『胸騒ぎ』
2024年5月10日より全国公開
PG-12
シンカ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2021 Profile Pictures & OAK Motion Pictures

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP