本作は、『ハッピーアワー』(脚本:濱口竜介、野原位、高橋知由)や『スパイの妻』(脚本:濱口竜介、野原位)などの作品で共同脚本を担当した野原位監督による劇場デビュー作品です。今回は主演の川村りらと共同脚本を務めています。主人公は心の底から子どもを育てたいと願っている女性の春(川村りら)。彼女はある日、記憶喪失の生人(川村知)と出会い、物語が展開していきます。春の“子どもを育てたい”という気持ちそのものには共感できると思いますが、常軌を逸した春の行動や言動には驚く方もいるでしょう。それと同時に母性や子どもを持つことの偉大さについても考えさせられます。
また、本作には春以外に夫を献身的に支えながら4歳の子どもを育てる美香子(出村弘美)というキャラクターも登場します。“子どもを育てたい”春と、“子どもを育てている”美香子という2人の対比も見どころの1つなので、それぞれがどんな壁にぶつかり、どんな結末を迎えるのか見守って欲しいと思います。
主演の川村りらをはじめとしたキャスト陣の自然体の演技も魅力的ですし、脇を支える個性的なキャラクター達も物語に一層深みを与えています。春を中心とした1人の女性の物語としても観られますし、子育てや夫婦関係に焦点を当てても観られる作品です。観る人の立場や状況によって捉え方が変わると思うので、しばらくしてから繰り返し観るのもオススメです。
恋愛映画ではありませんが、子育てや夫婦関係がキーワードとなっているので、結婚を考えているカップルや夫婦で観ると勉強になる点も多いのではないでしょうか。本作には春と美香子のパートナーも登場するので、相手としてどうなのか皆さんの目でジャッジして参考にして欲しいと思います。
皆さんの場合は生人の目線で観られますが、春や美香子の心情については中学生以上になってから観たほうがより理解できると思います。ティーンの場合も、“子どもを育てたい”春の気持ちに共感は難しいかもしれませんが、親子愛や人間関係を中心に観て、ご自身の家族関係を振り返ってみてください。
『三度目の、正直』
2022年1月22日より全国順次公開
ブライトホース・フィルム
公式サイト
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TEXT by Shamy