生徒の目の前で教室の窓から教師が飛び降りるシーンから始まり、ほぼ最後まで何とも言えない緊張感に包まれます。生徒達の妙に冷静な態度や大人に対する諦めに似た反応、不可解な遊びがすごく不気味で、生徒達が恐ろしい存在に見えると同時に、大人の頼りなさ、不誠実さも対比して描かれていて、そこに漂う絶望感がリアルに伝わってきます。そんな絶望的な社会で、感受性が強く、頭が良い子ども達は、どんな恐ろしい想像を膨らませていくのか。生徒達の心の中で何が起きているのかは、映画で観て頂くとして、恐る恐る展開を見守っていたら、予想だにしない結末が待っています。最終的に生徒達にまつわる謎が解ける意味ではスッキリする部分もありますが、視点がガラリと変わる結末は、最後にドカンと違う大きな問題を提起してきます。すごく独特な視点、演出を堪能してください。
名門中等学校が舞台で、生徒達の日常を描いていますが、胸騒ぎがするシーンが何度も出てきます。ホラーの吊り橋効果的なものではなく、何を考えているのかわからない怖さがあります。デートが盛り上がるようなムードは一切ありませんが、とても引き込まれるストーリーと世界観なので、純粋に映画を観たい人同士のデートなら観るのも良いと思います。
名門中等学校に通う優秀な生徒達が、放課後にやっていることは恐ろしいことばかり。でも、それにはちゃんと理由があって、頭が良いからこそ頭でっかちになり、不安ばかりを増幅させてしまう、子どもらしさの表れだとも言えます。大人の理不尽な態度に絶望したり、社会に希望が持てない若者達の物語で、ティーンの皆さんは等身大で観られるはずです。
『スクールズ・アウト』
2019年10月11日より「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019」ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマスコーレ、シネ・リーブル梅田ほかにて全国上映
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TEXT by Myson