福田雄一監督が「三國志」を映画化するとのことで、フツーなわけはないのですが、タイトルの通り、“新解釈”で自由にのびのびと作られています(笑)。「三國志」は長年愛され続けていて、これまでも何度か映像化されてきましたが、「三國志」に詳しい人は比較を楽しめるというか、それぞれのキャラがいじり倒されているので、新鮮さを味わえると思います。人物がたくさん出てきて中国名で覚えづらいので、他の作品で観たことはあっても内容をあまり覚えていないという人もいると思いますが、間に解説があり、ざっくりとしたチーム分けもわかりやすく、何よりコメディなので気負うことなく観られます。
今作も福田ファミリーは総勢で出ていますが、大泉洋、岩田剛典、岡田健史、城田優、渡辺直美などが加わったことによって、新鮮味があります。それぞれの個性が存分に活かされていて、見せ場を作っていますが、まず印象的なのは岩田剛典の登場シーン。イケメンぶりと身体能力の高さをうまい具合にコメディに織り込んでいて、思わずニンマリしてしまいます。渡辺直美は期待通りの身のこなしと顔芸でしっかりとインパクトを残し、岡田健史はある意味イメージを覆すキャラを演じ、城田優もとても美味しいキャラを演じています。大泉洋はそもそもコミカルですが、福田ワールドに入るとどうなるのか、ぜひご自身の目で確かめてください。
同じ「三國志」の映画化でも、本格派時代劇だったら、逆に「私はよく知らないから」「時代劇は難しいから」という人も出てくるかもしれませんが、本作は笑いあり、アクションあり、難しい言葉使いもなしということで、誰でも観やすいので、安心してデートに誘えます。「三國志」にうるさい人を誘うと、どっちの反応に転ぶかはわからないので、そこだけ相手の普段の好みを参考にして、誘うかどうか決めてください。
本作で描かれる「三國志」の物語はあくまで“新解釈”であり、もともとの史実も諸説あるとされている部分が多いようなので、中国史に興味を持ったら、他の映画や文献なども調べてみると良い勉強になるでしょう。人気俳優がたくさん出ていて、気楽に観られるエンタテインメントで、なおかつ勉強がおもしろくなるきっかけになるかもしれない、一石二鳥の作品です。登場人物がすごく多いので、物語についていくのが大変かもしれませんが、事前に人物相関図を確認しておくと理解しやすくなると思います。
『新解釈・三國志』
2020年12月11日より全国公開
東宝
公式サイト
© 2020映画「新解釈・三國志」製作委員会
TEXT by Myson