親が有名だったり、偉業を成し遂げた人物の場合、その親は子どもにも自分と同じ道を歩んで欲しいと思うのはよくあることです。でも、子どもには子どもの思いがあります。本作は、いつの時代も世の中に多くいるであろう、家業継承の問題を抱える親子のそれぞれの思いを代弁する、3世代にわたる家族の物語です。
探検家の父と探検家になりたくない息子、2人の物語として描くならば、現実的なストーリーのほうがわかりやすいかもしれません。でも、不思議な世界を舞台に描くというところがさすがディズニーですね。そして、親子の関係にとどまらず、孫が加わり3世代の物語として描くことで観る側の頭が柔軟になっていきます。さらに環境問題にも繋がってくるところ、孫のイーサンの現代的な思考に基づいたセリフなどによって、普遍的なテーマを描きながら、現代にフィットした物語となっています。
また、風景がとてもカラフルで、“ストレンジ・ワールド”の植物や動物達の質感にも柔らかさが感じられ、観ていて心地良いのも本作の魅力。一家が可愛がっている犬のレジェンドや、“ストレンジ・ワールド”で出会う奇妙な生物スプラットもとっても可愛いので癒されますよ。ファミリー映画でありながら、大人のほうが刺さりそうなテーマで描かれているので、世代を問わず観て欲しいです。
サーチャーとメリディアンの夫婦仲睦まじい姿も印象的です。思春期の息子に対して、父と母でどう接しているか、同じくお子さんがいらっしゃるご夫婦は参考に観て、子育てについて話し合う機会にするのも良さそうです。また、初デートの方も安心して観られます。自然に家族の話がしたくなるので、交際ホヤホヤでまだお互いのことをよく知らないカップルにもオススメです。
キッズの皆さんは将来何になりたいかという話題に親が敏感に反応することはまだないかもしれませんが、ティーンの皆さんはだんだん社会に出る時期が近づいてきて、本作のストーリーが身近に感じるのではないでしょうか。まさに親から決められた道に進むよういわれているけれど、本心は違うという方は、本作を観ると自分達を客観視できるので、親を説得するのに参考になるかもしれません。
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』
2022年11月23日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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TEXT by Myson