大ヒットしたフランス映画『最強のふたり』とは舞台を変え、アメリカ版として作られた本作は、ケヴィン・ハート、ブライアン・クランストンの好演によりまた違った味わいを出しています。実話をベースにしているのでストーリーの根幹は変わらずですが、オリジナル版をリスペクトしながら、アレンジされたところもあり、ニコール・キッドマンが演じる個人秘書のキャラクターは、オリジナルと最も異なる要素となっています。彼女が演じるイヴォンヌという役柄は、ブライアン・クランストンが演じるフィリップを支えますが、2人の関係は一見つかみどころがありません。でも、それこそが本作が多面的なストーリーだということを物語っていると思いますが、輝いてみえたと思ったら実状は甘くないという部分と、世の中捨てたものじゃないという部分が、うまく折り重なっていて、だからこそ感動、共感を覚える作品になっています。それはケヴィン・ハートが演じるデルとフィリップの関係にももちろん象徴されていて、主人公2人はそれぞれに大きな試練と戦っていますが、彼らの姿を観ていると元気がもらえますよ。
ラブストーリーの要素は一見さりげなく入れられているように見えて、実は結構重要な要素として盛り込まれています。上辺だけの優しさと、本当に寄り添える覚悟のある愛で、何が違うのかがわかる象徴的なシーンもあります。カップルで一緒に観ると、「隣りにいる人がもし同じような状況だったら、自分は支えられるだろうか」と考えてしまうと思います。そういう意味で一緒に観るべきか、1人で観るべきかを考えてみてください。
劣悪な環境で育ったデルと、ビジネスに成功したものの、ある事故で首から下が付随になってしまったフィリップの物語です。彼らは壮絶な人生を歩んでいますが、偶然の出会いで、お互いから刺激を受け、前向きに生きていきます。これは実話をベースにしていますが、どんなに困難でも希望があることを教えてくれます。若い皆さんにもぜひ観て欲しい1作です。
『THE UPSIDE/最強のふたり』
2019年12月20日より全国公開
ショウゲート
公式サイト
TEXT by Myson
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