タイトル通り、ディック・ロングがなぜ死んだのかという真相を探っていくストーリーではありますが、独創的なラインナップを誇るスタジオ“A24”と『スイス・アーミー・マン』ダニエル・シャイナート監督がタッグを組んだ作品ということで、フツーな話のわけがありません。序盤から「え?え?」となり、途中で「え!逆にどうやって?」となりますが、「そんなアホな!」という展開に、劇中で真相を徐々に知っていくキャラクター達と同じリアクションを体感できるはずです。ディック・ロングに何かが起こってからの短期間、周囲の人々はどう過ごしていたのかを淡々と映しているだけなのですが、言葉で観ている側に想像を膨らませるところが巧い!正確に言えば、言葉で言われても想像できないようなあり得ない話が飛び出してくるのですが、こういった演出でここまでセンセーショナルに描けるのはさすがです。結局、「何やってんだか〜」という話とも言えるのですが、後先考えない人間の残念な面を突きつける内容になっています。そして実際に起きた事件から着想を得ているというから、観終わって改めて驚くはず。劇中の出来事にどう反応するかは別として、ダニエル・シャイナート監督作としては期待に応えてくれますよ。
ネタバレになってしまうので、どういう意味で気まずくなる可能性があるかは伏せますが、内容的に人によってドン引きする部分が出てくる可能性もあり、初デートや交際期間が浅いカップルで観るのは避けたほうが良いでしょう。ただ、衝撃的な要素も直接的な描写はしていないので、ベテランカップルなら大丈夫だと思います。いろんな意味で観た後の会話が盛り上がるでしょう。
内容的にキッズに見せる映画ではありません(笑)。一応PG-12となっているので、12歳未満の人が観る場合は大人と観てくださいということになりますが、一緒に観る大人のほうが気まずくなりそうだし、「どういう意味?」と聞かれても説明に困るので、大きくなってから観てください。ティーンの皆さんにとっては反面教師的に観て、学べる部分が少しあるかも知れません。
『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』
2020年8月7日より全国公開
PG-12
ファントム・フィルム
公式サイト
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TEXT by Myson