「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した、中山七里の“刑事犬養隼人”シリーズ「ドクター・デスの遺産」を原作に映画化した本作は、130人もの患者を安楽死させた実在のアメリカ人医師ジャック・ケヴォーキアンをモデルにしています。誰がドクター・デスなのかを追うハラハラドキドキはもちろん、シリアルキラーの狂気を描くことで、安楽死の背景にある家族の苦しみや、その家族を苦しめている罪悪感にさらに苦しむ患者達の心情を浮き彫りにするストーリー展開が魅力となっています。ネタバレになるので具体名は伏せますが、とある俳優数名の怪演ぶりがスゴくて、後半はゾクゾクが増します。逆に言うと、キャストのラインナップで想像できてしまう部分がなきにしもあらずなので、情報は極力入れずに観ることをオススメします。序盤のシーンで「?」と思えるシーンに気付くと、真相に早く気付くと思うので、最初から目を凝らして観てください。
「最後まで真相に気付けなかった!」「あの時点で気付いた」など、この手の映画は鑑賞後に会話が弾むので、デートで観るのもありでしょう。デートで観て気まずいシーンもないので、初デートでもオーケーです。安楽死がテーマなので、ビジュアル的に刺激の強いシーンはありませんが、家族が闘病中の人などには辛い部分もあるので、そこだけ誘う際に要注意です。
安楽死の背景をわかった上で観て欲しいので、せめて中学生くらいになってから観るほうが良いのではと思います。家族が大切だからこそ苦しみがあるというところで、いろいろな立場で考えさせられる内容となっています。謎解きも楽しみながら、家族の存在、自分の存在が周囲の人にとってどれだけ大切か、想像しながら観てもらうとより有意義だと思います。
『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』
2020年11月13日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2020「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」製作委員会
TEXT by Myson