1984年のデヴィッド・リンチ監督版『デューン/砂の惑星』を先に観ていたのですが、ベースは同じながらやはりそれぞれの監督の持ち味が出るのはおもしろいと思いました。制作された時代も30年以上離れていて映像制作技術の違いを感じつつ、改めてデヴィッド・リンチ監督の演出力の高さも実感できます。
一方今作は『メッセージ』『ブレードランナー 2049』でお馴染みドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が手掛けており、SF超大作を得意とするヴィルヌーヴ監督のセンスと手腕が余すところなく発揮された作品となっています。数々のマシーンや巨大な砂虫(サンドワーム)などはリアルかつ壮大で、最新技術を駆使して作られたクオリティの高い映像を堪能できます。マシーンのデザインとかもカッコ良いんですよね。また公式資料に寄ると、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は1965年に出されたフランク・ハーバートの原作に10代の頃に出会い魅了されたそうで、今回念願の映画化が叶ったということです。ヴィルヌーヴ監督は当時生物学者か映画監督かになりたいと思っていたそうで、フランク・ハーバートが本の中で描いた生態環境がとても新鮮で詩的でパワフルに感じられたと語っています。そんなところにも監督のこだわりが表れていると思うので、ぜひご注目ください。
そして、本作の魅力はまだまだあります。もうキャストが豪華過ぎて忙しい(笑)。「ワ!この人もあの人もいる!」と興奮しっぱなしです。ティモシー・シャラメのドアップも何度か出てきますが、なんと美しい顔なんでしょうと見とれてしまうはず。勢力の構図はそれほどややこしくはないですが、登場人物が大変多いので事前に公式サイトで相関図だけ観ておくとすんなり観られると思います。さらに音楽はハンス・ジマーが手掛けていますよ。本作は絶対に大きなスクリーン、良い音響環境で観てください!
ラブストーリーの要素は多くはありませんが、美しく壮大な映像は圧巻で、誰を誘っても楽しめると思います。初デートで誘っても気まずいことはないので、どんなデートでも大丈夫です。ただ、映画好きが観るテンションと、普段あまり映画を観ない方のテンションではもしかしたらギャップがあるかもしれないので、そこを気にする方は映画好きの友達と観るほうが良いでしょう。
155分という尺からすると、幼いキッズはちょっと集中力が持たないかもしれませんが、スケールの大きさに圧倒されて時間はあまり気にならないので、小学校高学年くらいなら充分に楽しめるのではないでしょうか。いろいろカッコ良い要素も多いので、映画ってスゴいと感じてもらえたら嬉しいです。
『DUNE/デューン 砂の惑星』
2021年10月15日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
TEXT by Myson
デューン/砂の惑星(1984年版)
だいぶ前に1度観た気がしつつも、『メッセージ』『ブレードランナー 2049』を手掛けたドゥニ・ヴィルヌーヴの新作『DUNE/デューン 砂の惑星』がもうすぐ公開ということで、改めてデヴィッド・リンチ版を鑑賞。今観ると、今観るからこそのおもしろさがあります。まず、主演のカイル・マクラクランをはじめ、パトリック・スチュワートやヴァージニア・マドセンが「若っ!」ってところでテンションが上がり、デヴィッド・リンチの独特な演出、映像表現に目を奪われます。そして、ここでは褒める意味で、きも〜いキャラクターが多数出てきて、何だか子ども心をくすぐられます(笑)。あと、スティングが見事な肉体で“どうだ!パンツ”を履いて出てくるので、「カッコ良いけど、どないやねん!」と思いながら笑えます。
今の映像技術では本当に何でもできるようになりましたが、1984年版では技術で補えない分、見せ方で工夫していて、それが余計に味を出していて、逆に新鮮味を感じます。フランク・ハーバートのSF大河小説「デューン」は、デヴィッド・リンチが映画化したほか、アレハンドロ・ホドロフスキーも1975年に映画化を企画しつつも頓挫。ホドロフスキーの未完の作品については、『ホドロフスキーのDUNE』というドキュメンタリーでその裏側が明かされていますが、名監督達の心をくすぐる物語、世界観なんですね。デヴィッド・リンチ版は個人的にコミカルに観てしまいましたが、それぞれの監督が原作のどんなポイントに魅力を感じたかは、どんな映画になるかに表れると思うので、見比べてもおもしろそうですね。
『デューン/砂の惑星』
ブルーレイ&DVDレンタル、発売中/デジタル配信中
TEXT by Myson
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