物語は喪服を着た3人の女性がある男性の部屋に集まるところから始まります。でもこの3人に面識はなく、お互いに自分以外の女性がその部屋に来るとは思っていません。さて、ここまで読んだだけでも何かが起こりそうな気配を感じると思いますが、単なる女性同士のバトルを描いているのではない点が、本作のおもしろいところです。私はまったく情報を入れずに観たので、どんな結末で終わるかわからないおもしろさを体感しました。皆さんにもぜひそうして欲しいと思うので、これ以上は書かないでおきましょう。
物語の舞台はこの部屋のみで、71分という会話劇の中で3人が置かれる立場がクルクルと変わっていく様子が描かれています。最初は何となくこういう結末へ向かっているのだろうという予測を持って観る方が多いと思いますが、クライマックスで方向性がガラッと変わり、急激に哲学的なストーリーに変化していく様も見どころです。良い意味で「思っていたのと違った」「truthってそういう意味での真実か」といろいろな解釈ができると思うので、1人で観るよりは、誰かを誘って観て解釈や感想を述べ合って楽しんでください。
これはデートで観るといろいろな意味で微妙な空気が流れそうです(笑)。恋愛のその先、人間や動物が生きる原点、本能というところに行き着くストーリーとも言えるので、正直なところロマンチックなムードとは無縁です。結末がユニークで、観終わった後に誰かと話したくなる内容ではあるので、仲の良い友達と行くのが良いのではないでしょうか。
キッズの皆さんにはまだわからない用語なども出てくるので、大人になってから観るほうが理解しやすいと思います。ストーリー自体はシンプルですが、キャラクター達が持つ本能的な感覚まで行き着くには、いろいろな恋愛をしてからのほうが感情移入できるのではないでしょうか。一方で、映画制作や演劇制作に興味があるティーンの皆さんは、作り手側の視点でも参考になる部分があるので、いろいろな角度で観てみてください。
『truth ~姦しき弔いの果て~』
2022年1月7日より全国順次公開
PG-12
ラビットハウス
公式サイト
© 2021映画「truth〜姦しき弔いの果て〜」パートナーズ
TEXT by Myson