REVIEW

罪の声

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『罪の声』小栗旬/星野源

塩田武士の「罪の声」を映画化した本作はフィクションですが、モデルにされている事件は昭和史最大の未解決事件で、映画を観ればすぐに「あの事件だ!」と思い出すはずです。そして衝撃なのは、タイトルにもなっていますが、事件に関わる“声”に隠された真相です。私はいつものように前情報を入れずに観たのですが、皆さんにもぜひそれをオススメしたい。「『罪の声』って何のこと?」と思いながら観始めて、まず驚きというか、星野源が演じる曽根俊也と同じショックを体感できます。物語の中では、曽根俊也の他、新聞記者の阿久津英士(小栗旬)も真相を追っていて、全く接点のない2人がどうやって繋がっていくのかも見どころの1つとなっています。
その“声”が何なのかを序盤でわかった瞬間から、真相に近づく度にドキドキが増すと同時に、得も言われぬ複雑な感情がずっとつきまとい、最後もズシンと重みを感じるストーリーになっています。そして、マスコミが及ぼす影響、責任、罪にも言及している点で、ただ犯人捜しをするだけのストーリーになっていない点も本作の魅力となっています。また、善と悪の定義は人それぞれで、罪を犯している自覚もなく人を傷つけていることがあるかもしれないことを気付かせてくれる作品です。事件の巧妙な仕掛けや、キャラクター設定、俳優達の演技、スリリングな演出もすべてを堪能してください。

デート向き映画判定
映画『罪の声』小栗旬/星野源

終始ハラハラドキドキはありますが、吊り橋効果とは違って、自分があの人の立場だったらといろいろとイメージを巡らせて、不安をリアルに感じるというタイプのものだと思います。ただ、劇中で登場する夫婦のやり取りには、夫婦円満の秘訣がちらっとうかがえる部分もあります。すごく集中して観てしまうはずなので、鑑賞中は隣の人のことを気にかけている暇もないはずですが(苦笑)、映画そのものはとてもおもしろいので、誘ってハズレとはならない点で、デートで観ても良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『罪の声』小栗旬/星野源

ネタバレになるので具体的には言いませんが、キッズ、ティーンの皆さんもとても感情移入できる内容になっています。事件のからくりが巧妙なので、キッズにはちょっと難しい部分もありますが、小学校高学年以上で、大人も観る一般の映画を観るようになっていたら、十分ついていけると思います。悪意はないとしても、自分の欲望、都合だけで、知らずに誰かを巻き込み傷つけていることがあるかもしれないことに気付かせてくれるストーリーなので、いろいろと考えさせられはずです。

映画『罪の声』小栗旬/星野源

『罪の声』
2020年10月30日より全国公開
東宝
公式サイト

© 2020 映画「罪の声」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP