核家族で、子育てをしながら名門ハーバード法科大学院に通い、同時に夫の看病をするだけでなく、同じ大学院に通う夫の分も代わりに授業を受けて、夫が回復したら夫の就職先に合わせて引っ越し。それに伴い、ハーバードからコロンビア大学法科大学院に移籍し、主席で卒業、弁護士資格も取得して…って、この主人公ルースは本当にスーパーウーマンです。「そんな人いるの?」って思っちゃいますが、これは実話で、ルースの実の甥が脚本化したとのことです。舞台は女性進出がまだまだ進んでいない1970年代で、こんなに優秀な彼女でも女性というだけで弁護士として就職先が決まりません。そんな彼女は一旦別の進路を辿りますが、性差別に関わる裁判に関わったことで、法の道、女性が活躍する道を切り拓いていきます。詳細は映画を観て頂くとして、彼女の諦めない精神と行動力に本当に勇気をもらえるし、合わせて彼女の夫マーティも素晴らし過ぎるんです。もし夫がこういう人でなかったら、ルースはもっと苦労しただろうし、もっといろいろと諦めていたと思うのですが、ルースの夢を応援すべく夫が支える姿が本当に素敵なんですよね。だからぜひこの映画は男性にも観て欲しい!おまけにアーミー・ハマーが演じているからなお惚れちゃう(笑)。さらに、ルースと娘の関係性にも胸を打たれます。娘からしてお母さんってお手本でもあり、反面教師でもあり、そんな複雑だけど、愛に満ちた関係が、リアルに描かれていて、性差別に戦う女性の話に留まらず、人間ドラマとして心に残る作品になっています。そして、もちろん法廷シーンも大きな見どころなのですが、法律、表現の巧みな解釈が観ていて爽快で、ウィットに富んだセリフが魅力的です。ちなみにルースさん御本人は80代後半(1933年3月15日生まれ)でもまだ現役の最高裁判事を務めていらっしゃるとのこと。後に続く女性のために戦い、社会の考え方を変化させるきっかけを作ってくれた彼女が法律の現場にいるのは心強いですね。
これはぜひぜひカップルで観て欲しいと思いますが、日本男子が観るとどんな反応を示すのかは気になるところ。結婚、出産で、いろいろなことを諦めたり、夫を優先するか妻を優先するかと二者択一になった時に、日本ではまだ男性の状況に女性が合わせるカップルが多いと思います。2人が納得の上でだったらもちろん全然問題ないとは思いますが、主人公ルースの躍進を観ていると、「私もやれるだけのことをやりたい!何も諦めたくない!」という気持ちが強くなるはずなので、そういう理解を得るきっかけに、結婚を考えている相手や、既婚の方は旦那さんを誘って観てみるのもありでしょう。
何から何まで背負って頑張るお母さん、それを支えるお父さんという目線で観ると、普段はわからないような大人の苦労が感じ取れるかも知れません。法律のお話が出てくるので、キッズにはまだ内容が難しい部分もありますが、中学生以上ならついていけると思います。夢を諦めずに貫く主人公の姿は、男女問わず勇気をもらえるし、何より実話ということで説得力もあるので、ぜひ観てください。
2019年3月22日より全国公開
ギャガ
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TEXT by Myson