最全長380メートル、全高155メートルの大怪獣を倒した後の始末に奔走する人々を描いた空想特撮エンタテインメント映画『大怪獣のあとしまつ』。本作は松竹と東映が創立以来初のタッグを組み、共同幹事、配給作品として公開されます。今回は本作でヒロインを演じた土屋太鳳さんにインタビューをさせていただきました。
<PROFILE>
土屋太鳳(つちや たお):雨音ユキノ 役
1995年2月3日生まれ、東京都出身。2008年に黒沢清監督作『トウキョウソナタ』でデビュー。NHK連続テレビ小説『まれ』(2015)で主演を務め脚光を浴びる。同年主演を務めた『orange-オレンジ-』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2017年、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』では日本アカデミー賞優秀女優賞を受賞した。主な出演作には、『orange-オレンジ-』『トリガール!』『となりの怪物くん』『8年越しの花嫁』『累-かさね-』『今際の国のアリス』『哀愁しんでれら』『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』『鳩の撃退法』『アイの歌声を聴かせて』などがある。
※前半は合同インタビュー、後半は独占インタビューです。
特撮作品は好きを超えて人生で大事な存在
記者A:
『大怪獣のあとしまつ』というタイトルからも、今までこの大きな死体をどうしてたのかなと、発想がすごくおもしろいと思いました。土屋さんが初めて脚本を読んだ時の第一印象はどうでしたか?
土屋太鳳さん:
本当の意味で清純派の特撮作品になるんだろうなと感じました。いろいろな描き方をされている特撮があるんですけど、この作品は一貫して社会風刺があって、シリアスな中に大なり小なりコミカルな部分があっても、より深刻さを増している感じをちゃんと表現できる作品になるのではないかと思いました。あと、コロナ禍とすごく重なる部分を感じました。絶対あり得ないパンデミックが起きたじゃないですか。だからやっぱり人間が想像したことは起きるのかもしれない、発信していることってフィクションだけれど、絶対あり得ないことってないんだなと思って、自分なりにもっといろいろな作品に出られるように頑張ろうと思ったきっかけにもなりました。
マイソン:
今回コミカルなシーンが良いアクセントとして入っていましたが、本作で他のキャストの方から良い影響を受けたところはありますか?
土屋太鳳さん:
皆さん本当に自然に笑いを取られるんですよね。笑わせようとしている感じがあまりなくて、そのセリフとニュアンスがおもしろいのかなと思います。三木監督がいらっしゃることで良い緊張感の中で撮影が進んでいって、ふざけた笑いだったら笑わないよっていう空気が流れていて。でもリハーサルもしっかりしていて、間とテンポも大事なのかなと感じました。
マイソン:
撮影中に待機している間も皆さん和気あいあいとされていたんでしょうか?
土屋太鳳さん:
皆さん常連さんなので、「今こういう作品で一緒に撮ってるよ」って話をしたり。西田敏行さんはお会いしたのが日本アカデミー賞ぶりで、何を話しかけてくださるのかなと思ったら「太鳳ちゃん、あのさ、最近さ、世の中に対して言いたいことある?」っておっしゃって(笑)。
一同:
ハハハハ(笑)。
土屋太鳳さん:
すごくおもしろいんですよね(笑)。濱田さんと西田さんはだいたい世の中に言いたいことを話して楽しんでらっしゃって、私も言いたいことというか、「こういう考えはありますよ」というお話はしました。
記者A:
ユキノは雨音正彦(濱田岳)と結婚していて、帯刀アラタ(山田涼介)とは元恋人という関係ですが、その微妙な人間関係を演じる上で、山田涼介さんと相談したことはありますか?
土屋太鳳さん:
ない…ですね。相談というか、涼介さんがいらっしゃるだけでユキノになれるので。涼介さんがなぜ座長という立場に立たれているのかとヒシヒシと感じた現場でした。基本的にレディファーストで、主演の方が先に行っちゃうと皆が後から走ってきて「すみません!」となるので、涼介さんは一番最後に入られるんです。私はヘアメイクに時間がかかるので、私が入ってから一緒に入ってという感じだったり、スタッフさんに対するラフなツッコミだったり、気負ってない、その呼吸のままいてくださって。涼介さんも、濱田さんもほんとに素敵だなと思いながらユキノをやらせていただきました。私自身も三角関係を演じるのは初めてだったので、新たな一歩になったかなと思います。
マイソン:
今回特撮作品ということで、撮影では見えていなかったものが本編で見えるようになって、出来上がった作品を観てどうでしたか?
土屋太鳳さん:
もう想像と違いすぎて(笑)。撮影中はコミカルなシーンもあって、そのノリで番宣にいくのかなと思ったら、すごく本格的な特撮映画になっていて、観終わった後に涼介さんと「これはどうやって番宣しようか」って悩んだのを覚えています。私が一番好きなのは、「倒すよりムズくね?」っていうキャッチコピーで、この中で一番のテーマなのかなと思います。
マイソン:
その言葉の通り、後始末と言われると、確かにすごく大変だし、斬新なストーリーだなと思いました。
土屋太鳳さん:
本当に斬新だなと思いましたね。東映さんと松竹さんがコラボするっていう、こんな貴重な機会に出演させていただけて、もう特撮好きな私としては本当に嬉しいです。
マイソン:
今特撮がお好きだとおっしゃいましたが、小さい頃に観て好きになるきっかけとなった作品ってありますか?
土屋太鳳さん:
ウルトラマンガイア、ティガ、コスモス、レンジャーだったらガオレンジャー、ハリケンジャー、仮面ライダーだったら龍騎、アギト、クウガですね。あとシャンゼリオンも。
マイソン:
すごくたくさんご覧になってますね!
土屋太鳳さん:
ものすごくたくさん観てきて、私も“ウルトラマンゼロ”のヒロインをやらせていただいて、もう好きを超えて人生の大事なことの1つというか、大事な存在です。
誰かを思っているほうが心が動く
マイソン:
俳優さんは感情を使うお仕事で、おもしろいシーンを撮ったかと思えば次は悲しいシーンの撮影だったり大変そうだなと思います。そういう時はどうやって気持ちを切り替えていますか?
土屋太鳳さん:
私は何も考えずに憑依できる人ではないので、考えて考えてそのシーンに向けて「奇跡よ、起きろ!」と思ってやっています。だから、努力しないとそこにたどり着けなかったり、いっぱいいっぱいになっちゃうと逆に感情が出づらくなったり。どれだけの塩梅で感情を持ってくかというのは結構難しいです。
マイソン:
そうですよね。さきほど特撮をすごくたくさん観ていらっしゃるというお話がありましたが、アクション作品にも多数出演されて体を動かすことも多いと思います。そこに行き着いたきっかけというところに、もともとこういう作品がお好きだったということもあるんですか?
土屋太鳳さん:
そうかもしれないです。何かを守るために戦うとか、お芝居もそうなんですが、自分じゃなくて誰かを思っているほうが心が動くんです。それは私の生き方にも似てるというか、自分のためというより、家族や大切な友人のために自分がどう行動するか、どう言葉でそれを伝えるかとか、そういうことなのかな。
マイソン:
何事にも共通してそれを大事にされてらっしゃるんですね。では普段、体を鍛えるためにやっていることはありますか?
土屋太鳳さん:
やっぱり走るのは欠かさないようにしています。常に走ってます。ずっと走ってます(笑)。
マイソン:
スゴい(笑)!結構長い距離ですか?
土屋太鳳さん:
でも今日は3㎞くらいです。ゆっくり走って、「疲れた〜」「寝たい」って思いながらランニングしてきました(笑)。
マイソン:
さすがです!では最後の質問で、これは皆さんにお聞きしているのですが、いち観客として大きな影響を受けた映画か、人物がいらっしゃったら教えてください。
土屋太鳳さん:
『シザーハンズ』です。大切な人を守りたいのに大切な人を傷つけちゃうっていうのがすごく切なくて、それはすごく衝撃的でした。あと特撮ものは自分の中で大きいかもしれません。“ウルトラマンティガ”でカルミラが出てくるシーンとか、『ラスト サムライ』とかかな。この作品というよりは、このシーンが良かったとか、人ってワンシーンを覚えていたりするじゃないですか。そういうのがあった作品が好きですね。『小さいおうち』とかも好きでしたし、“るろうに剣心”はずっと好きです。
マイソン:
確かに印象に残るシーンがある映画ってずっと覚えてますよね。本日はありがとうございました。
2022年1月9日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『大怪獣のあとしまつ』
2022年2月4日より全国公開
監督・脚本:三木聡
出演:山田涼介 土屋太鳳
配給:東映、松竹
大怪獣を倒したまでは良かったが、その巨体を始末する方法がなかなか見つからない。さらに大怪獣の死体を放置することで危険な事態も予想され、政府と特務隊は究極の方法を試すことに…。
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
©2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会
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