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『ホームステイ ボクと僕の100日間』主演&ヒロイン&監督インタビュー

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映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨー、チャープラン・アーリークン、パークプム・ウォンプム監督

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で映画デビューし一躍注目され、『ホームステイ ボクと僕の100日間』で主人公を演じたティーラドン・スパパンピンヨー(通称ジェームズ)さんと、タイを拠点に活動するアイドルグループ“BNK48”のメンバーとして人気沸騰中、同作でヒロインを演じたチャープラン・アーリークンさん、そして本作でメガホンを執ったパークプム・ウォンプム監督が来日。タイで話題沸騰の本作についてお話を伺いました。チャープランさんはアイドル活動で日本にご縁があるからだと思いますが、日本語そのままでも通じたり、日本語で返答してくれたりしてさすがでした。ティーラドンさんはほんわかした雰囲気ながら、発言にはプロ意識がみなぎり、監督は見た目に威厳がありますが撮影中のお話からお茶目さが伝わってきました(笑)。

<PROFILE>
ティーラドン・スパパンピンヨー(通称ジェームズ):ミン役
1997年4月27日タイ、バンコク生まれ。新人発掘リアリティー番組でテレビデビュー。その後、2014年のTVシリーズ“Hormones2(原題)”で演技力が認められ、次シリーズで はメインキャラクターに抜擢された。2015年に出演したLINEテレビのドラマ『STAY Saga〜わたしが恋した佐賀〜』は佐賀県で撮影され、1,000万回以上再生される大ヒットとなり、タイで空前の“佐賀ブーム”を巻き起こした。2017年には、日本でも大ヒットを記録した『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で映画デビューし、勉強は苦手だがカンニングビジネスを仕切る富豪の御曹司パット役を熱演。第28回スパンナホン賞で助演男優賞にノミネートされた。また、俳優業以外に歌手としても活動中。

チャープラン・アーリークン(BNK48):パイ役
1996年5月2日タイ、ソンクラー県ハジャイ生まれ。タイを拠点に活動するアイドルグループ“BNK48”のメンバーで、キャプテンを務めている。2019年1月に開催された第1回BNK48選抜総選挙で大差をつけて1位を獲得。また、2018年5月に行われたAKB48の53rdシングル世界選抜総選挙では39位にランクインした。アイドル活動の傍ら、タイ最難関の国立マヒドン大学国際学部で化学を学び、研究助手として論文を共同発表した一面も持つ。映画出演作は、第31回東京国際映画祭にて上映されたドキュメンタリー映画『BNK48: Girls Don’t Cry』(2018)があるが、『ホームステイ ボクと僕の100日間』で初演技を披露。

パークプム・ウォンプム
1978年9月23日タイ、バンコク出身。ランシット大学のコミュニケーションアーツ学部フィルム・ビデオ科を卒業。2000年に卒業制作として発表した短編映画“LUANGTA(原題)”が国内外で注目され、2004年、初の長編ホラー『心霊写真』が、タイ国内で大ヒットし、日本でも2006年に公開された。その後“Alone(原題)”やホラー・オムニバス・シリーズ“4BIA(原題)”と“Phobia 2(原題)”を手掛け、国内外でホラー監督として人気を得ている。『ホームステイ ボクと僕の100日間』は、2019年の大阪アジアン映画祭で上演され、タイのアカデミー賞とされる第28回スパンナホン賞では作品賞など13部門でノミネートされる快挙を成した。

僕達にチャンスがあるんだったら、今からでも良いから後悔しないで何でもやっていこう

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨーさん、チャープラン・アーリークン

マイソン:まず監督に質問で、原作が日本の小説「カラフル」ということで、日本とタイの文化の違いからアレンジしたところを教えてください。ジェームズ(ティーラドン・スパパンピンヨー)さんとチャープランさんは、脚本を読んだ時の印象はどうでしたか?

パークプム・ウォンプム監督:
「カラフル」は、実はタイ語に訳されたものがあり、大体10版ほど印刷されて、タイ人にもよく知られている本なんです。私もこの本がとても好きで、これを映画の脚本に直せることをとても幸せだと思いました。ただ小説にある核となる部分を映画の中で損なわないように、そしてタイの文化に合うようにアレンジするというのは、とても難しくて、脚本ができるまでに1年半もかかりました。物語の構造自体はしっかりしているんですけど、そこに私らしくスリラーなどの要素を付け足して、もっとワクワクするように、それからテーマがはっきりわかるように、主人公が100日以内にこの少年の死の本当の原因を答えられなかったら、この体では生きられないということを明確にするような演出を心掛けました。

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
僕は役者として、すごく好きだなと思いました。観客に対するメッセージがはっきりとしていたからです。ただすべてのシーンを想像した時に演じる側としてはかなり演技力が必要とされるかなと思いました。ですが、脚本を読んだ時にすごく入り込めたので、とても気に入っています。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨー

チャープラン・アーリークンさん:
まず監督に選んで頂いたことがとても嬉しかったです。演技をするなんてことは想像したこともなかったので、初めて脚本を読んだ時は、感情表現がとても必要とされている役で、とてもワクワクして、頑張って挑みました。

記者A:
この作品に参加したこと、この作品を手掛けたことで、皆さんそれぞれの人生観などで、変わったところはありますか?

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』パークプム・ウォンプム監督

パークプム・ウォンプム監督:
もともと死には興味があったので、この小説が死に関係があるというところで、何か意味は感じ取れるかなと期待して読みました。映画を撮り終わったことで、自分の死生観がはっきりしたと思います。やっぱり人間というのは、無になるもので、自分では自分のことばかり見ていて、他の人の視線というものを見ていない。でも他の人の視線で見ることで、他の人の人生だったり、価値を見出す、いつも見慣れていて見落としていたものを見ることができる。そういう良い視点をはっきりと描きたいと思いました。

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
僕の死生観は特に変わらないのですが、この映画からいろいろなことを教えられました。例えば、この映画の主人公は短い期間しか与えられていないのですが、家族に対していろいろな思いがあります。なので、僕達にチャンスがあるんだったら、今からでも良いから後悔しないで何でもやっていこうと。ミンだってやりたいことがたくさんあったのだからと思いました。

チャープラン・アーリークンさん:
私も特に死生観は変わっていません。ただ監督がおっしゃったように別の人の視点で見ることで、人生の苦しみとか、問題解決をできるんだなと思いました。この映画の設定は1人の人間に特別チャンスが与えられたという普通じゃない状況なんですけど、短い期間でもこんなことができるんだと思いました。

記者B:
皆さんそれぞれ初めて会った時のお互いの印象はいかがでしたか?

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
チャープランさんはアイドルで、BNK48(チャープランさんが所属するアイドルグループ)は撮影時より今のほうが有名なんですけど、会う前は「普通に話してくれるのかな?本当に親しくなれるのかな?」と思っていたんです。でも実際に会ったらすごくフレンドリーだし、感じ方も一部似ているところがあったので、たくさん話すようになり、思っていたのとは違う展開になりました。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』チャープラン・アーリークン

チャープラン・アーリークンさん:
私は監督と2回会っていて、2回目のオーディションの時に初めて「この人が監督だったんだ」と認識したんです。ものすごく静かに佇んでいたので、こういう人なんだなと思っていましたが、後になると楽しく付き合うことができました。ジェームズ(ティーラドン・スパパンピンヨー)さんは、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を観ていたので、パット(役名)のイメージでした。話が合うのかなと思っていたのですが、1回目に会った時はあまり話しませんでした。演技のワークショップの時に、「僕、演技めっちゃ真剣だから」って言われて、ちょっとビビりました(笑)。それはすごくプレッシャーだったんですが、「私だって演技真剣だから」って言いました。ただジェームズさんは今までに何作品か出ていて、プロの俳優さんだったので、私も頑張ろうと思いましたし、仕事に対するスタンスも同じだったのが良かったです。でも、私は当時ちょっと悩んでいました。

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
当時、歌手デビューするプロジェクトとかいろいろなプロジェクトが同時進行していたんです。なので、芝居はすごく感情表現をするから大変だったんですけど、今は見ての通りになりました(笑)。監督と初対面の時の話をしたいのですが、僕は別の関連会社にいて、別の人のことをパークプム監督だと思っていました。なので後から「この人が監督だったんだ」って思いました。パークプム監督はすごく優しいけど、静かでちょっと威厳のある感じなので緊張しました。丁寧な人ほど緊張するんです。例えば「それでも良いけど、だけど…」と「だけど」が付く人が怖い(笑)。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨー

パークプム・ウォンプム監督:
初対面の時にジェームズは、髪の毛がすごく短くてほぼスキンヘッドで、子どもっぽかったので、「この人、できるの?」って聞きました。実際初対面で、彼に「僕は怖い?」って聞いたんです。彼には『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で悪役のイメージがすごく付いていたので、もともとジェームズに主役ができると思わなくて、ジェームズは嫌だと。それで、もっと主役っぽい雰囲気のある俳優を探していたのですが、見つからなかったんです。ただオーディションでは、この人の演技のスキルはすごいと、いろいろな演技を見せてくれると思いました。撮影が3ヶ月あったので、演技力が高くないと持たないから彼で行こうと思いました。チャープランさんは(キャスティング当時)BMK48で有名になり始めていた頃だったらしいんですけど、私は全く興味がなくて、知らなかったんです。Facebookでたまたま写真を見て、キャスティング部の担当者に「この子も連れてきて」って言ったんですけど、連れてきた時に自分で頼んだことを忘れていました(笑)。そして初めて見た時に、この子はカメラ映えするなと思って、まだパイ役の演技はできなかったんですが、すごく魅力的でそのキャラクターがパイにピッタリだと思いました。なので、ワークショップで演技を鍛えて、3ヶ月後にはパイになったなと思いました。ジェームズさんは、すごくセンシティブな人なので、ちょっと感情が入るとすぐ泣けるんですよね。だけど、チャープランさんは全然泣かないんです。アクティングコーチに泣くように言っても、監督の自分はすぐ泣けるのに、彼女を見ると何も感じていないようなんですよね。何でかなと思った時に、やっぱりグループのキャプテンとして、心が強くてすごくしっかりしているから泣かないんだと思ったので、その壁を壊すように努力して、最終的には泣けるようになりました。今はネットの動画などを観ただけでもすぐに泣けるようになりました。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨー/チャープラン・アーリークン

マイソン:
タイではお2人のキスシーンでファンが騒然としたと聞いていますが、それを聞いてお2人はどうでしたか?監督はあのキスシーンに何かこだわりはありましたか?

パークプム・ウォンプム監督:
今までホラーとかスリラー映画などを撮ってきたので、ラブラブなキスシーンは1回も撮ったことがなく、今回が初めてのキスシーンでした。脚本に書いて良いのかなって思ったけど、やっぱり2人の関係が深まってのあのキスシーンなので、「まあいいや、じゃあやってみて」って感じでした。実際に撮影していて、この2人よりも自分のほうが照れてしまいました(笑)。モニターを観て1テイク目ではダメだったので、修正でもう1回やってって言って、何回も何回もやって、その度に照れて照れて大変でした。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨーさん

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
完成披露試写会の時にチャープランさんのお母さんが隣の席で観ていて、僕は「お母さんがいる。どうしよう」って緊張しました(笑)。(観客が)そこまで演技に入り込んでもらえているというのは、すごく嬉しいですね。声とかリアクションとか、楽しいなって思います。いろいろな映画館に潜入して観客の反応を見ていたんですけど、キャーって叫ぶ時もあれば、息が止まったようにシーンとしている時もあって、いろいろな反響がありました。

チャープラン・アーリークンさん:
リアクションがはっきりしているのはすごく良くて、私とファンの絆が深まったような気がしました。そこまで役に入り込んで反応してくれたのは、嬉しかったですし、私も演技の結果だと思います。そして最終的には作品を気に入ってもらえたので、良かったです。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』チャープラン・アーリークン

記者A:
日本でも未成年の自殺がすごく多くて、社会問題になっていて、夏休み明けの時期はいじめられている子や学校で苦しい思いをしている子達が、夏休みで学校に行かない期間を経て、新学期に学校に行くのが辛いというので、特に9月1日の新学期が自殺率が高いと言われています。悩んでいる子にもこういった映画を観てもらえたらと思ったのですが、タイではどのような反応があったのか、また皆さんが日本の人にこの映画を観てどのように感じて欲しいと思いますか?

パークプム・ウォンプム監督:
タイでも同じ問題は増えています。ただこの映画を撮った時に、自殺を考えている人に見せるつもりはなくて、普通の人にも何か伝えられることがあればと思って作っているんですよね。実際の反響は、製作会社とか私のSNSを通じて「この映画を観て人生の良い面が見えるようになりました」とか「人生をやり直したいと思いました。ありがとう」っていうメッセージが伝わってきたので、こういう観方をしてもらえたんだなと思いました。それは興行収入を上げるよりももっと嬉しいことです。別に社会を啓蒙したいという意図は全くなくて、脚本を書き始めた時にこのアイデアをシェアして、人生に苦しんでいる人を応援できたらなと思ったくらいなんです。

ティーラドン・スパパンピンヨーさん:
やっぱり問題に感情移入し過ぎるのが良くないと思うんですよね。1歩引いて、第三者の広い視点で人生を見ることによって、問題は解決できるんじゃないか、感情を使うよりも頭を使ったほうが良い解決方法が見つかるんじゃないかと思いました。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨーさん、チャープラン・アーリークン

パークプム・ウォンプム監督:
問題にのめり込み過ぎるのが問題で、他人の視点で考えるというのがすごく大事だと思うんです。映画の中でも本当に人生は一時的なもの、もしもの連続であると。そういう無になるという解釈をすることによって、問題解決方法は見つかると思います。

チャープラン・アーリークンさん:
自分のせいだって思い込まないほうが解決策は見つかるんじゃないかと思います。

2019年9月19日取材 PHOTO & TEXT by Myson

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』ティーラドン・スパパンピンヨー/チャープラン・アーリークン

『ホームステイ ボクと僕の100日間』
2019年10月5日より全国公開
監督・脚本:パークプム・ウォンプム
出演:ティーラドン・スパパンピンヨー/チャープラン・アーリークン/スークワン・ブンラクン/サルダー・ギアットワラウット/ノパチャイ・チャイナーム/チャーマーン・ブンサヤック/タネート・ワラークンヌクロ/スダー・チューンバーン
配給:ツイン

“ボク”は、遺体安置室でミンという高校生の身体で目覚め、ミンの自殺の原因を100日間で解明しないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられた。
そして“ボク”は100日間の“ホームステイ”で、ミンのふりをして生活を送るが…。

公式サイト 映画批評&デート向き映画判定

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