ドラマ

『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

  • follow us in feedly
  • RSS
WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

マイケル・マン監督により全編オール日本ロケで描かれる超大作ドラマ『TOKYO VICE』に主演のアンセル・エルゴートさんが来日。日本の新聞社で記者として働く役柄を演じているアンセルさんは、今回日本語でセリフを言うだけでなく、日本語で文章を書くシーンにも挑戦しています。ドラマを観ただけでも並大抵の勉強ではここまで日本語を使えないと驚かされましたが、インタビューでは時に通訳を介さず5、6割は日本語でお話をされてビックリしました。そんなアンセルさんに日本でどんな体験をされたのかなどお聞きしました。

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

<PROFILE>
アンセル・エルゴート:ジェイク 役
1994年3月14日アメリカ、ニューヨーク生まれ。高校生のときに、マンハッタン・シアター・クラブで上演された舞台“Regrets”に出演し、メディアから絶賛される。2013年、キンバリー・ピアース監督、クロエ・グレース・モレッツ主演の『キャリー』で映画デビュー。続く2014年には『ダイバージェント』『きっと星のせいじゃない。』とティーンの支持が高い作品に出演し、10代スターの地位を確立した。2015年には『ダイバージェント』の続編である『ダイバージェントNEO』『ダイバージェント FINAL』にも出演。その他、映画出演作は『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』『ベイビー・ドライバー』『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』『ジョナサン -ふたつの顔の男-』『ウエスト・サイド・ストーリー』などがある。また俳優以外では、191cmという長身を活かして、プラダのキャンペーンモデルを務めた。EDMアーティスト兼プロデューサー、DJでもあり、“DJアンソロ”という名前で活動中。

※前半は合同インタビュー、後半は独占インタビューです。
※太字は、アンセルさんが日本語で話されたところです。

アンセルさんが絶賛する日本のキャストは…

ドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート/渡辺謙

記者A:
今回、日本語のセリフを覚えるのも大変だったでしょうし、書くシーンもあって驚きました。どのようにして覚えたのでしょうか?事前にリサーチはされましたか?

アンセル・エルゴートさん:
歴史と日本語の先生と毎日4時間勉強しました。書き方も教えてくれました。記者の役作りのためにロサンゼルスで実際の事件記者とずっと一緒に回って、シャドウイングや取材をして、実際の記事も書きました。ジャーナリズムを勉強している学生ということで、インタビューの仕方を習ったり、実際に記事を書いたりしたんです。それがマイケル・マン監督のスタイルで、なりきる、没入するというやり方なんです。そうすることによって、実際に役を演じた時に地に足が着いて、観客の方がリアルに感じることができるというわけです。

マイソン:
理解するのが難しかった日本の文化や風習はありましたか?

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート/伊藤英明

アンセル・エルゴートさん:
そんなに難しくなかったです。実はコロナ禍が続いたせいで新年は日本で過ごすことになりました。英明さん(伊藤英明)は私を故郷に招いてくれました。毎日温泉に入って、ご家族と食事をして、お母さんの手料理をごちそうになりました。新年には初詣に行って、英明さんの息子さんとおみくじで大吉を引きました。私はベリー・ラッキー・ガイです。

マイソン:
大吉、良いですね(笑)!日本で印象に残ったことはありましたか?

アンセル・エルゴートさん:
日本では細かいことにも気を配るというところに学ぶところがあり、感心しました。

海外ドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート

記者A:
ジェイク役を演じるにあたり気を付けた点はありますか?

アンセル・エルゴートさん:
実際に私も一所懸命勉強していたのが役作りの助けになったと思います。テストを受けているシーンは大変で、一所懸命ひらがなを書いたり、マイケル・マン監督にカメラの後から「早く○を書いて、次のページ、次、次、次!」と言われながらやりました。そういう監督です(笑)。とっても良い経験でした。

一同:
ハハハハ(笑)。

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

マイソン:
今回の経験は今後のキャリアにどんな影響をもたらすと期待されていますか?

アンセル・エルゴートさん:
まず『TOKYO VICE』のシーズンをもっと続けていきたいです。勉強するのも楽しいし、日本にいることがすごく好きだからです。でも、その後に例えばブラジルなど新しいところに行って新しい言語を学ぶのはどうなんだろうと思ったりはします。日本語は私にとって初めて学ぶ外国語です。すごく良い経験だったので、これからも他の言語を習っていけたらと思います。でもまずは日本語をマスターしたいです。すごく時間がかかるかもしれないけれど、良いチャレンジだと思っています。

マイソン:
今後他の日本の作品にも出てみたいですか?

アンセル・エルゴートさん:
もちろんです。

マイソン:
楽しみにしてます!

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

記者B:
本作ではマイケル・マン監督、『ウエスト・サイド・ストーリー』ではスティーヴン・スピルバーグ監督と、巨匠とのお仕事が増えていますが、彼等の現場での演出はいかがですか?

アンセル・エルゴートさん:
マイケル・マンはとても力強い監督です。考えを明確に表現します。時々クルーにはちょっと厳しいですが(笑)、皆そんな監督を尊敬しています。マイケル・マン監督、スティーヴン・スピルバーグ監督と一緒にお仕事ができてとても幸せです。準備を本当にしっかりするので、撮影する時には居心地の良い自分でいられます。何かがおかしい時にそれがわかるくらいなんですね。それほどの準備をするからこそすごくリアルで没入感のある経験ができたと思います。マイケル・マン監督は、「1日に9時間、日本語を勉強しろ」とおっしゃったんですけど、4時間勉強しました。でも4時間勉強した後に代々木公園に行って友達を作って一緒に日本語で話をしたり、レストランでも日本語で話したり、本当に日本に住んでたということがこの役にはとても役に立ちました。

記者B:
アンセルさんとマイケル・マン監督とハリウッドのチームが来て日本で撮影して、僕等日本人が観てもかなりダイナミックな作品になっていておもしろかったんですけど、実際に完成した作品を観ていかがでしたか?

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート/渡辺謙

アンセル・エルゴートさん:
エピソード1は長いプロローグみたいなもので、舞台設定をしているだけなんですね。この後実際にジェイク(アンセル・エルゴートさんが演じる主人公)がヤクザを調べていったりしておもしろくなります。今はジェイクが主役ですけど、他のキャラクター達の役割もどんどん大きくなって皆が主役のようになっていきます。今回、渡辺謙さんと一緒にお仕事ができてとっても光栄です。私が初めて観た渡辺謙さんの映画は『インセプション』です。その時の謙さんの表情と声の素晴らしさに感動しました。『硫黄島からの手紙』も感動的でした。『明日の記憶』の演技も素晴らしかったです。ブロードウェイで観た“王様と私”でも謙さんの歌にしびれました。一緒にお仕事ができてとっても幸せです。

記者A:
渡辺謙さんの他にも日本のキャストがたくさん出ていますが、印象はどうでしたか?好きな日本映画もあれば教えてください。

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』笠松将

アンセル・エルゴートさん:
好きな日本の映画は黒澤明の『用心棒』です。クリント・イーストウッドの(『用心棒』を原作とした)3部作も好きで、父や兄弟から「あれは黒澤の『用心棒』が元になってるんだよ」と言われて観ました。黒澤明監督は世界の名監督の1人だと思っています。共演者の皆さんとは一緒にお仕事ができて光栄です。菊地凛子さんはとても素晴らしい俳優です。彼女は感情をリアルに自由に表現します。時々自然に出る演技がハッとさせるんです。そんな自然な凛子さんの姿が深く印象に残っています。1テイクで信じられないような演技をされて、彼女はオスカーにノミネートをされたことがありますけど、さすがだなと思いました。笠松将さんの演技もとても大好きです。将さんはクールで不思議な魅力のある俳優です。クールだけど、時々感情的な激しい表情を見せます。1度将さんの演技を観たら、きっとファンになると思います。彼等も英語のセリフがあったので英語を勉強していて、僕は日本語を勉強していて、同じ船に乗っているという気がしました。

リアルに日本の生活を知ったディープな体験

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート

マイソン:
アメリカのアカデミー賞でも、日本の作品がノミネートされたり、アジアの作品の活躍が観られるようになりましたが、ハリウッドで活躍されている立場として映画界が変わってきたと思えるところはありますか?

アンセル・エルゴートさん:
先ほど黒澤明監督が歴代最高の監督だと思うと言いましたが、ハリウッドのアカデミー賞は世界的になってきたと思います。以前はハリウッドだけの賞だったんですけどそれが広がっていって、1950年代はハリウッドで撮影していたのが、どんどんハリウッドも世界のビジネスになってきたように思います。

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー
ヘアメイク:KANAKO NISHIMURA (west furie)

マイソン:
一層おもしろくなってきたという感じですか?

アンセル・エルゴートさん:
すごく良いことだと思います。

マイソン:
では最後に一言だけ。ドラマの中でジェイクが住んでいた日本の部屋がすっごくちっちゃかったですよね(笑)!

アンセル・エルゴートさん:
フフフ(笑)、実際にあの部屋に週末泊まりました。シャワーとお風呂がありませんでした。だから銭湯に行って、友達を作りました。

WOWOWドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴートさんインタビュー

マイソン:
え〜(笑)!

アンセル・エルゴートさん:
でも、おばあさんが、僕が服を脱いでいるのをちらっと見てたりして(笑)。

マイソン:
(そのおばあさんは)番頭さんですね?

アンセル・エルゴートさん:
番頭さんです。

マイソン:
それもすごい実体験ですね!

アンセル・エルゴートさん:
はい、とっても良い経験でした(笑)。

マイソン:
ハハハハ、今日はありがとうございました!

2022年4月5日取材 PHOTO&TEXT by Myson

ドラマ『TOKYO VICE』アンセル・エルゴート/渡辺謙

『TOKYO VICE』
2022年4月24日(日)よりWOWOWにて独占放送開始(全8回)、毎週日曜22:00放送・配信
監督:マイケル・マン
出演:アンセル・エルゴート/渡辺謙/菊地凛子/伊藤英明/笠松将/山下智久

物語の舞台は1990年代の東京。アメリカから日本へ来たジェイク(アンセル・エルゴート)は東京の大学を卒業し、猛勉強の末、日本の大手新聞社に入社を果たす。ジェイクは警察担当の記者となり、特ダネを追ううちにヤクザが関わる事件で手腕を振るう刑事、片桐(渡辺謙)と出会う。

公式サイト

©HBO Max / James Lisle ©HBO Max / Eros Hoagland

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』ティルダ・スウィントン/ジュリアン・ムーア ザ・ルーム・ネクスト・ドア【レビュー】

ペドロ・アルモドバル監督は、過激で刺激的な作品も撮る一方で、母をテーマにした作品も…

映画『嗤う蟲』深川麻衣さんインタビュー 『嗤う蟲』深川麻衣さんインタビュー

日本各地で起きた村八分事件をもとに、実際に存在する“村の掟”の数々をリアルに描いた物語『嗤う蟲』。今回は本作で主演を飾った深川麻衣さんにインタビューさせていただきました。

映画『バック・イン・アクション』キャメロン・ディアス/ジェイミー・ フォックス バック・イン・アクション【レビュー】

キャメロン・ディアスが『ANNIE/アニー』(2014)以来、10年ぶりに映画界に戻ってきてくれました!

映画『十年 Ten Years Japan』池脇千鶴 池脇千鶴【ギャラリー/出演作一覧】

1981年11月21日生まれ。大阪府出身。

映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン 『ケナは韓国が嫌いで』トークイベント付試写会 5組10名様ご招待

映画『ケナは韓国が嫌いで』トークイベント付試写会 5組10名様ご招待

映画『満ち足りた家族』キム・ヒエ 「親の心子知らず、子の心親知らず」映画特集

2025年初旬に劇場公開される作品の中から、さまざまな親子関係を描いた作品をご紹介します。どれも全くタイプの異なる作品ですが、同じテーマで観比べるのもおもしろいと思います。

映画『ボーダーランズ』ケイト・ブランシェット/ケヴィン・ハート/ジャック・ブラック/エドガー・ラミレス/ジェイミー・リー・カーティス/アリアナ・グリーンブラット ボーダーランズ【レビュー】

世界累計8,700 万本以上という、史上最も売れたビデオゲーム“Borderlands(ボーダーランズ)”を原作とし、イーライ・ロス監督が映画化…

映画『勇敢な市民』シン・ヘソン シン・ヘソン【ギャラリー/出演作一覧】

1989年8月31日生まれ。韓国出身。

映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』ウー・カンレン/ジャック・タン Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり【レビュー】

『ミス・アンディ』『分貝人生Shuttle Life』などの社会派作品のプロデューサーを務めてきたジン・オンの長編監督デビュー作となる本作は…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

REVIEW

  1. 映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』ティルダ・スウィントン/ジュリアン・ムーア
  2. 映画『バック・イン・アクション』キャメロン・ディアス/ジェイミー・ フォックス
  3. 映画『ボーダーランズ』ケイト・ブランシェット/ケヴィン・ハート/ジャック・ブラック/エドガー・ラミレス/ジェイミー・リー・カーティス/アリアナ・グリーンブラット
  4. 映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』ウー・カンレン/ジャック・タン
  5. 劇場アニメ『ベルサイユのばら』

PRESENT

  1. 映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン
  2. 映画『知らないカノジョ』中島健人/milet
  3. 映画『あの歌を憶えている』ジェシカ・チャステイン/ピーター・サースガード
PAGE TOP