特集

映画に隠された恋愛哲学とヒント集66:運命の人って出会った時にわかるもの?

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『わたしは最悪。』レナーテ・レインスヴェ/ハーバート・ノードラム

ネタバレ注意!

今回は、『わたしは最悪。』『リコリス・ピザ』『ソー:ラブ&サンダー』を例に考えてみました。

そもそも“運命の人”の定義は?

恋愛に理想や夢を抱いている方にとって、“運命の人”というのは、固い絆で結ばれ一生離れない相手というイメージかもしれません。私も高校生くらいまではそんな理想を抱いていたような気もします(苦笑)。でも、現実的に考えると、“一生離れない相手”=本当に愛し合っている相手ではない場合も多々あると考えると、“運命の人”って一体どういう相手のことをいうのだろうと疑問が湧いてきます。

そして、“運命の人”のイメージを植え付けるラブストーリーは世の中にいくつも存在します。その多くは美しく描かれているのではないでしょうか。ただ、運命的な恋愛がすべてきらびやかなものであるかは現実的に考えると違っていそうです。

映画『わたしは最悪。』レナーテ・レインスヴェ/アンデルシュ・ダニエルセン・リー

例えば『わたしは最悪。』の場合、主に2人の男性との恋愛談が出てきますが、当然ながらどちらの恋愛にも甘い思い出と苦い思い出があります。また、出会った瞬間はビビッときて「これが運命的な出会いだ!」と感じたとしても、別の恋が訪れて「やっぱり、こっちが運命的な出会いかも」となるわけです。私達の日常でもきっとこの繰り返しではないかと思います。

映画『リコリス・ピザ』アラナ・ハイム/クーパー・ホフマン

『リコリス・ピザ』に関していうと、同じ人物を相手として、正式に恋人という関係になる前にくっついたり離れたりを繰り返します。この物語の最後までで描かれる物語に限っていえば、紆余曲折したけれどやっとお互いに“運命の人”だったことに気付くというパターンです。でも、この物語に続きがあったとしたら、主人公2人がもっと大人になると別れる可能性は大いに残されています。ただ、2人が別れたとしてもこの恋は運命的な恋愛だったことは変わらないのではないでしょうか。

映画『ソー:ラブ&サンダー』クリス・ヘムズワース/ナタリー・ポートマン

『ソー:ラブ&サンダー』はというと、別れた後何年も経ってひょんなことから再会した2人が命を賭けた戦いを前に、心にしまいこんでいた未練と向き合います。でも、この2人の場合は再会を果たしていなかったとしてもお互いに“運命の人”だったと認識していたのではないでしょうか。なぜなら、交際が続いていなくても、各々の人生に大きなインパクトを与えた人物である点で“運命の人”だからです。

『わたしは最悪。』『リコリス・ピザ』『ソー:ラブ&サンダー』で描かれる恋愛模様は全く異なりますが、それぞれが運命の恋を描いているといえます。「運命の人って出会った時にわかるもの?」に対する答えとしては、出会った時にはわからないかもしれないけれど、後でわかるといえるのではないでしょうか。

運命の人だと思っていた相手と別れて辛い思いをしている方、運命の人を探し求めても見つからずに疲れている方、いずれにしても、「運命の人かどうかは後からわかる」と思えば、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。この3作に共通しているのは、さまざまな経験を経た後にその答えにたどり着くということ。そう思えば、恋愛に固執せず、前向きになれそうですね。

映画『わたしは最悪。』レナーテ・レインスヴェ

『わたしは最悪。』
2022年7月1日より全国順次公開
R-15+
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

© 2021 OSLO PICTURES – MK PRODUCTIONS – FILM I VÄST – SNOWGLOBE – B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA

映画『リコリス・ピザ』アラナ・ハイム/クーパー・ホフマン/ショーン・ペン/ブラッドリー・クーパー/ベニー・サフディ

『リコリス・ピザ』
2022年7月1日より全国公開
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

映画『ソー:ラブ&サンダー』クリス・ヘムズワース/ナタリー・ポートマン

『ソー:ラブ&サンダー』
2022年7月8日より全国公開
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

©Marvel Studios 2022

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP