※映画公式サイトで既に書かれている内容以外には触れずに書いていますが、全く何も知らずに本編を観たい方は映画鑑賞後にお読みください。
今回は、強迫性障害に悩む男性と、彼を支えながらも苦しみを胸に抱える女性の物語『誰よりもつよく抱きしめて』を取り上げます。
一緒にいる限り苦しみは続く
新堂冬樹の同名小説を映画化した『誰よりもつよく抱きしめて』に登場するのは、同棲中のカップルです。ここではまず、映画公式サイトに掲載されている範囲よりも手前のあらすじだけ少し共有します。
絵本作家の水島良城(三山凌輝)は、強迫性障害による潔癖性で不都合の多い日常生活を送っています。そんな良城をそばで見守っているのが、恋人の桐本月菜(久保史緒里)です。2人は学生の頃から交際しており、一緒に住んでいます。良城は月菜に出会った頃は健康でしたが、就職を機に強迫性障害に悩まされるようになります。良城と月菜が悩みながら日々を過ごしていた頃、彼等の関係に影響を与える第三者が現れます。そして、お互いに触れたくても触れられず、不安と不満が膨らみつつある良城と月菜の関係に徐々に亀裂が入っていきます。
良城と月菜は長く交際し既に同棲しているので、そのまま人生を共にする可能性もあります。一般的にも、2人と同じように同棲中のカップルは、それぞれのタイミングで将来のことを考えるようになるでしょう。そのタイミングが合うか合わないかが、2人の将来を左右する一つ目のハードルです。
すぐに結婚するわけではないとしても、良城と月菜のように恋愛において発展途上といえる年齢の人にとっては、恋人と過ごす時間の濃度にこだわるのは自然です。だから、触れあえない時間があとどれくらい続くのかという不安は計りしれません。
別れるという選択肢も浮かびながら、そうできない理由はいくつか考えられます。もちろん愛情があるから別れないという理由も考えられるものの、長く交際していて離れるのが怖かったり、同棲を解消して一人に戻るのが怖かったり、ただ変化が怖いという深層心理も働いているかもしれません。
では、愛なのか、ただ不安を回避したいだけなのかを確かめるにはどうすれば良いのでしょうか。イチかバチか距離を置いてみるしかないのかもしれません。それはとても勇気のいることである上に、本作では2人の関係に第三者も絡んでくるので、余計な選択肢も入ってきます。こうなると、2人の行く末は益々読めません。
そんな時に、辛さを呑み込んで無難な道をそのまま進むのか、自分をごまかして楽な道を選ぶのか、はたまた全く別の道を歩むのか、その選択の先に誰が待っているかは別として、どの選択によって幸せがもたらされるかは、ほぼこの時点の選択で決まりそうです。
次の一手がどうであれ、本気の恋には覚悟が必要、覚悟ができないなら本気の関係は得られない、そんなことを考えさせられる作品です。自分ならどうするか、シミュレーションしながらご覧ください。
『誰よりもつよく抱きしめて』
2025年2月7日より全国公開
アークエンタテインメント
公式サイト
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©2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント
TEXT by Myson
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情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。