『パピチャ 未来へのランウェイ』は、“ファッションデザイナーになる”という夢を胸に、抑圧に抗い、自分達の手で未来を切り拓いていこうと奮闘する主人公ネジュマの物語。この度、この主人公にちなんで、勝負服デザイン画コンテストが実施されました。短期間での募集にもかかわらず、たくさんの応募があったそうです。
そして、公開を翌日に控えた2020年10月29日、コンテストの結果が発表されました!今回、篠原ともえ氏(デザイナー/アーティスト)、ヴィヴィアン佐藤氏(美術家/文筆家/非建築家/ドラァグクイーン)と、本作の監督ムニア・メドゥール氏が特別審査員を務め、パピチャ賞(=グランプリ)、優秀賞2作品が選ばれました。
その他ファイナリストのデザイン画も発表されましたが、どの作品もエネルギッシュで、本当に個性的で素晴らしい作品ばかり。今コロナ禍でファッション業界も大変そうですが、「負けないぞ」と学生デザイナーの皆さんから元気をもらった気がします。上位3名のデザイン画は、Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)エレベーターホールに展示されますので、お近くにお立ち寄りの方はぜひご覧になってください。
そして、映画『パピチャ 未来へのランウェイ』でも、逆境に負けない主人公の闘いぶりが描かれていますので、お見逃しなく!
特別審査員よりコメント
この映画で一番好きなシーンは、デザイナーを目指すネジュマが生地と触れ合い、指で繊細にデザインを生み出そうとする姿。まるでゆっくりと自分の心を見つめるように服と向き合うシーンは「ああ…わかる!この夢中になる瞬間」と彼女の創作へのひたむきさ、純粋さに魅了されました。ものづくりを愛しているから到達する、特別な感情だと思います。
今回、そうしたかけがえのない想いに溢れた素晴らしい作品たちがたくさん手元に届き、胸が熱くなりました。私も学生の頃からデザイン画を描き続け、コンペに挑戦するなどしたからこそ、デザイナーとしての今があります。夢に向かいひたむきに頑張るすべての人を、私はずっと応援し続けます!
篠原ともえ
デザイナー・アーティスト
全体として「自分らしく、闘う。勝負服」のデザインというより、このコンテストのデザイン画自体が勝負の意気込みがほとばしっておりました!
昨今、ネットやzoomによって世の中の総ての事象が置き換わる傾向があります。このコンテストのファイナリストのデザイン画も映画『パピチャ 未来へのランウェイ』の公式サイトで見ることはできます。しかし、配給会社からファイナリストのデザイン画の原寸大のコピーが郵送され、実際にこの目で見てみると、その力強さと意志の明確さがものすごい強度で伝わってきました。筆圧や画のテクスチャーやディテールが迫ってきたのです!!!コピーでさえもです。
私たちは今のこの時代に余りにもコロナというウイルスや、その周辺の風評被害を気にしすぎて、身体的な「文化」や「意志」を軽視しているのではないかと感じました。コロナ禍でも負けない、雪の下でも養分を吸って栄養価の高い野菜のように温存した情熱を爆発させて欲しいものです!!!
どのデザイン画も「自分が着る」ことを潜在的に意識しているように思えました。これはデザイナーたちの「近い未来、こうなりたい自画像」に他なりません。「闘う」ための武装の衣装ではなく、むしろ「裸になる」ことで、皆さんの自分自身を露わにしているようでした!
入賞した方も、逃した方もこれからファッションという文化をコロナ禍で消滅させないように、闘っていってください!!!
ヴィヴィアン佐藤
美術家/文筆家/非建築家/ドラァグクイーン
『パピチャ 未来へのランウェイ』
2020年10月30日より全国順次公開
クロックワークス
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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