映画『真実』来日ジャパンプレミア:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、是枝裕和監督/宮本信子、宮﨑あおい、佐々木みゆ(日本語吹き替え版)
昨年のカンヌ国際映画祭において、『万引き家族』で日本映画21年ぶりの快挙となる最高賞“パルムドール”を受賞した是枝裕和監督が、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュを主演にした映画『真実』を制作。そんな本作野公開日を間近にして、ドヌーヴとビノシュが来日し、監督とともに舞台挨拶を行いました。
是枝監督は「こんな形で2人と映画を撮るなんて、撮り始めてからもまったく現実感のない夢のようなことだったんですけど、こうやって完成して3人で壇上に上がれるのが信じられないです。撮影自体も本当に楽しい時間を過ごすことができて、それが映画に映ってると思いますので、楽しんでください」とコメントしました。
キャスティングされた時にどう思ったかと聞かれたドヌーヴは、「最初はまだ役のオファーのではなく、是枝監督をお目にかかる機会を得ました。その後、何度かお会いしまして、私のぜひ一緒に映画をやりたいという気持ちをわかってくださって、この役を頂いたんですが、私を配役して映画を考えてくださって本当に嬉しかったです」と振り返りました。現場での様子については、「最初は監督はフランス語を話さないし、私も日本語はできず、監督の通訳を介してしかコミュニケーションができなかったんですが、時間を一緒に過ごすにつれて、見た目でわかるようになってきました」と話しました。
是枝監督と映画を作るのが夢だったというビノシュは、「『誰も知らない』を通じて、是枝監督と出会った、発見したわけですが、監督の映画で子ども達が無邪気に描写されていて、人生のディテールが描かれている、そういった様子に私はとても感動しました。実際に監督にお会いしたところ、とても物静かですが、沈黙の中にお友達になれる友情、優しさ、鋭い観察眼を感じました。映画監督というのは、そういった耳と目のセンシビリティ、感受性が強いと思うんですけど、是枝監督はそういった資質の真髄がある方だと思います」と監督を絶賛しました。
全編フランスでの撮影を振り返り、是枝監督は「(撮影期間は)日本の倍の時間をかけて、ゆったり1日8時間、(1日でいうと)日本の半分くらいで撮影で、ゆっくりゆっくり同じ時間を共有しながら、映画を作っていきました。最初はそのリズム感が日本と違うので、もっと撮れるのにっていう時間があったんですが、慣れてくると撮ってない時間も含めて、同じ場所と時間を共有できたっていうことが本当に良かったなと思います」と語りました。
そして本作は日本語吹き替え版も制作されており、声を務めた宮本信子、宮﨑あおい、佐々木みゆも登壇しました。
宮本信子は「このお話を頂いてから、一日中映画を拝見しておりました。ですから今日ドヌーヴさんとお会いして、何か懐かしい人にお会いしたような感覚があります」と挨拶。ドヌーヴという大女優の声を担当したことについては、「初めての吹き替えの仕事でした。声だけを入れるからこそ、ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)がどういう風な人物かを理解し、それをどう表現するかを考えて表現したつもりです」と述べました。
宮﨑あおいは「このお話を頂いてから、時間の許す限りこの映画を観ていて、ビノシュさんのお顔をずっとずっと観ていたので、昨日初めてお会いした時に本当に涙が出てきそうになって、固まってしまって、監督にずっと笑われて…。声を当てている間は、私はビノシュさんの気持ちを一緒に共有できていた感覚があるので、すごく幸せなお仕事でした」と喜びを表しました。
佐々木みゆは、「(声の仕事は)初めてだったんですけど、これはチャンスだと思って、頑張ってやってみたら、すごく楽しかったです」と答え、このしっかりした回答に会場が沸きました(笑)。まだ幼く可愛らしいみゆちゃんですが、強い意志を持ってお仕事をされていて、すごく頼もしいですね!
最後に是枝監督は、「映画の中に、いろんな“母と娘”を登場させて、それが娘と母に見えたり、昔の誰かと誰かの親子関係に見えたり、いろんな見え方をするように重層的に作ったつもりでいるので、そこに注目して観て頂けたらと思います」と締めました。
カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュの競演が本当に素晴らしく、母と娘の関係性の奥深さ、温かさを感じられる作品となっています。日本語吹き替え版と両方観るのもおもしろそうですし、多くの方に楽しんで頂きたい作品です。
映画『真実』来日ジャパンプレミア:
2019年10月3日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『真実』
2019年10月11日より全国公開
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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