映画『トップガン マーヴェリック』来日記者会見:トム・クルーズ、ジェリー・ブラッカイマー(プロデューサー)
36年もの間、多くのファンが待ち望んでいた『トップガン』の続編が遂に2022年5月27日より公開されます。公開を目前にして、主演のトム・クルーズ、製作のジェリー・ブラッカイマーが揃って来日を果たしました。一つひとつの質問にたっぷり答えてくれたお2人の様子からは、半端ない熱意を感じました。
Q:なぜ、続編を作ることになったのですか?
トム・クルーズ:
もちろんファンの皆さんのために作りました。何十年もの間、多くのファンの皆さんに続編を求められていたのですが、まだ私には準備ができていませんでした。やりたいこともいろいろあり、特別な作品でもあるというところもありました。もちろん、ジェリーと一緒に作品を作り上げたいという思いもありました。そして、今でないと2度と一緒にできないというところもありましたが、ちゃんと正しいところを見出さないといけないとも思っていました。観客の皆さんに戦闘機のコックピットに座っているような体験をしてもらいたいという思いもあり、感情的なストーリーであるというところ、そのすべての正しい要素が揃ったので作ることができました。
私達はただ続編を作る、映画を作るということはしていません。私は映画を作る時には必ず何か限界を超えることができるように、もっと何かできるんじゃないかと、観客の皆さんに楽しんでいただけるんではないかという思いで、ジェリーと一緒に今作を作りました。
Q:トム・クルーズさんをはじめキャストの皆さんが、実際に戦闘機に乗り込んで、空中シーンを撮影するという、すごく挑戦的なところが多かった作品だと思います。実際にどうでしたか?
ジェリー・ブラッカイマー:
トム・クルーズと仕事をするには、リアルなものを作らなくてはいけない。そして、トム自身が実際に免許を持ったパイロットです。トムは3ヶ月間のトレーニングプログラムを作って、俳優達はF-18に乗れるようにトレーニングを受けたんです。まず、俳優達はプログラムのなかで、プロペラ機に乗り、次に曲芸飛行をする飛行機、そしてジェット機に乗りました。これは、G(重力加速度)に耐性をつけるためなんです。1Gは自分の体重です。彼等は撮影中、7から8Gを耐えなくてはいけませんでした。これは自分の体重の7から8倍の重力に耐えるということです。そうしなければF-18には乗れないということです。だから3ヶ月かけて耐性を作っていきました。
1作目の『トップガン』で俳優達をF-14に乗せました。でも、使えるフッテージはトムのだけで、他の俳優達は全員吐くか失神するかのどちらかでした。
今回、映画の中で飛行機が上昇すれば彼等(俳優達)も上昇し、降下すれば彼等も降下する、曲芸のような飛行でも、彼等は同じように体験しています。全部リアルなんです。だから、実際の海軍の戦闘機の飛行士がするようなことを実際にしているんです。
そして、トムはこの35年の間にとにかく業界での最高の監督、脚本家達、俳優達と一緒に仕事をしてきて、まるでスポンジのように彼等のいろいろな知識をすべて吸収してきたわけです。ですから、本作の中でそういうさまざまな彼の知識が発揮されています。どうやったら、観客を楽しませられるか、そういう要素がすべて入っているのがこの作品です。
Q:実際にどういう風に撮影したのか、その秘密を教えてください。
トム・クルーズ:
1作目当初、F-14の時にトニー・スコットが開発したカメラがありました。それは5分ほどの映像を機内で撮れるというものでした。私は曲芸飛行をするものも含めていろいろな飛行機を操縦することができますので、そこから10年以上の間、どういうことができるのかを考えていました。多くの方々から続編を作って欲しいという要望がありました。自分としては、どのようなアプローチをとれば良いのだろうというところで、空撮の仕組みをいろいろと考えていきました。そして、時間の経過と共に技術も変わり、いろいろなものが開発されました。『バリー・シール/アメリカをはめた男』では、実際にカメラを機体に付けて撮影しました。
本作の最初と最後のほうで登場するP-51(第二次世界大戦時の飛行機)は私の飛行機なんです。私自身、飛行機に乗っている時に編隊を組んだり、いろいろなことを考えながら、映画としてどんな物語を伝えることができるのかを常に考えています。そういったところから、実際に使える技術なども研究して、ジェリーともずっと話し合いました。グリーンスクリーンを使わないというところもジェリーは支持してくれました。ストーリーが1番重要であると常に思って作品を作っています。また、レンズを通して何を伝えられるのかを考えて、どこにカメラを置けば良いのか、それは広角レンズが良いのか、長いレンズなのか、どういう感情を伝えたいのか、何を作り上げたいのかを常に考えています。
アーティストとしては、作品を観る側に対して、どのように何を作り、どのような影響を起こすことができるのか、それが笑いを生むものや泣かせるもの、感動を呼ぶもの…、どういったストーリーを伝えたいのかというのを考えます。
ジェリー・ブラッカイマー:
この映像を観ると、楽勝に見えると思います。でも全く楽ではなく、とても複雑なんです。やっぱりトムという人がいるからこそ、これができるんです。彼は朝早くから起きて、皆が飛ぶ前に2時間ブリーフィングを行うんです。どんなシーンで、何をやらなくてはいけないのか確認するんです。俳優達は本物のパイロット達と飛ぶわけですけど、飛んでいる間は彼等は撮った映像は見られないんです。音声だけが聞こえています。降りてきてそれを観てディスカッションをして、正しいものではないという判断になるとすべてまたトムが説明して、もう一度俳優達がパイロット達と一緒に飛ぶんです。そのプロセスが何度も何度も行われるわけです。だから非常に複雑で難しいことなんです。
コックピットの中に6台のカメラを設置しました。これはこれまで一度もなされたことがない方法です(これに対して、トムが「2度とやらないだろうね」と苦笑していました)。この6台のカメラはこの作品のためにソニーが開発したものです。バッテリーと本体を切り離したカメラです。だから、俳優達は演技をするだけではなく、自分達でスイッチを入れたり切ったり、照明も自分でやらなくてはいけないんです。地上にコックピットがあって、トムがブリーフィングをする時はまず地上でまずリハーサルをするんです。15ヶ月間かけて、こういったさまざまなプロセスを経ました。最高で一時に22台のカメラが回っている時もありました。皆さんは一度も行くことがない世界かもしれませんが、それを実際に体験できる作品になっています。
Q:(トムへ質問)この36年間、どういう努力をして、どういうことを心がけて今に繋がっているのか教えてください。
トム・クルーズ:
特別なことではないのですが、とにかく一生懸命仕事をしてきました。非常にシンプルなことなんです。なぜなら私は夢を生きていることができている幸せな人間だからです。私は常に人間に関心があります。人間が大好きで、人生について学ぶことも愛しています。常に自分をもっと高めよう、より良くしていこうと努力しています。それは私が行うことすべてに、です。努力を続けているなかで素晴らしいことは、必ずまた超えなくてはいけない、学ばなければいけない山があることです。映画の作り手として有能であるように努力をしています。『ラスト サムライ』の時は準備に2年を費やしました。撮影をする前に1年間、毎日5時間、刀の練習をしました。
私は好奇心が旺盛で、子どもの頃からいろいろな物事の仕組みや、人間に興味を持って、世界のいろいろな所を見てみたいと思っていました。幸いなことに自分はそれをスクリーンに投影できる仕事をしています。
ジェリー・ブラッカイマー:
トムはまるでアスリートのようにトレーニングをします。 “ミッション:インポッシブル”のシリーズなど、いつもスタントは自分でこなしているし、飛行機だけでなく全部のアクションを自分でやるようにしているんです。それを安全にやる、やり遂げるためには最高のコンディションになるように身体を鍛えておかなくてはいけないんです。日本のトップのサッカー選手を思い浮かべてください。トムは彼等と同じようにトレーニングをしています。
とにかく私達2人とも自分達の仕事が大好きなんです。だから常により良くしたい、最高のものにしないと気が済まないんです。
トム・クルーズ:
いつもこのジェリーの姿勢を素晴らしいと思っています。
「とてもチャレンジングな大変な映画でしたが、私達はそういう作品に挑むのがとても好きですし、とても楽しかったです」とおっしゃっていましたが、だからこそお2人はハリウッドでトップを走り続けているんだなと感じました。お2人の功績はヒット作を振り返ると一目瞭然ですよね。そんなハリウッド史上最強の2人がタッグを組んでいる本作は、今回の会見でお話されていたように、臨場感が半端ありません。本当にGを体感できる映像になっており、ストーリーも心に響きます。本作は大きなスクリーンで観ないともったいないですよ!
映画『トップガン マーヴェリック』来日記者会見:
2022年5月23日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『トップガン マーヴェリック』
2022年5月27日より全国公開
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
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