日本には各地の風土に応じてしょうゆ、みそ、納豆、漬け物などの発酵食品や、干物、節類などの乾物といったさまざまな伝統食品があり、そのほとんどが食料が乏しかった時代の保存食として生まれました。特に発酵食品は加工の過程で新たな旨味成分が加わり、健康促進に役立つ優れた食品が多くあります。今回は日本を代表する伝統食品である発酵食品と乾物の特徴や効果をご紹介します。
栄養価が高く、積極的に摂りたい発酵食品
■しょうゆ(醤油)
大豆のもろみを発酵させて作られるのがしょうゆ。
<栄養面>
各種アミノ酸やミネラル、ビタミンB群などが含まれている。ただし、飲料ではないため、しょうゆそのものから栄養を摂ることは期待できないが、胃液の分泌を促し、食欲を増進させる働きがある。
→その他詳細については以前紹介しているのでこちらにてご確認ください。
■みそ(味噌)
みそは、蒸した大豆、麹(こうじ)、食塩を入れて発酵、熟成させたもの。
<栄養面>
卵と同じくらいのタンパク質が含まれていて、肝臓の解毒作用を助ける必須アミノ酸のメチオニンも含まれている。さらに、みそに含まれるサポニンには中性脂肪やコレステロールを低下させる働きもある。
→その他詳細については以前紹介しているのでこちらにてご確認ください。
■野菜の漬け物
野菜に塩をまぶして保存したのが漬け物の始まりだと言われている。野菜に塩が浸透することでしんなりと食べやすくなり、酵素の働きにより風味成分が作られ、食欲をそそる食感と味の漬け物になる。
<漬け物の種類(漬け方で大別)>
◎塩で漬ける…野沢菜漬け、キュウリや白菜の浅漬け、梅干しなど
◎酢で漬ける…らっきょう、千枚漬けなど
◎糠(ぬか)で漬ける…キュウリの糠漬け、たくわんなど
◎粕(かす)で漬ける…奈良漬けなど
◎麹で漬ける…べったら漬けなど
<栄養面>
少量で野菜が持つ栄養分と繊維質を摂ることができる。特に糠に漬けたものは、糠のビタミンB郡が加わり、疲労回復、粘膜の保護、冷え性の解消にも役立つ。ただし、高塩分のため、食べ過ぎには注意が必要。
■納豆
大豆を丸ごと食べられる高栄養食品で、煮た大豆を納豆菌で発酵させて作る。納豆には、加塩発酵の“塩納豆”と無塩発酵の“糸引き納豆”の2種類がある。一般的に“納豆”と呼ばれているのは糸引き納豆。納豆の表面に見える白い粉は納豆菌の菌膜で、鮮明なほど良質だと言われている。
<栄養面>
生で食べるのが最も効果的に栄養を吸収できる。また、納豆には大豆の6倍ものビタミンB2(脂肪の代謝などの効果がある)が含まれている。さらに、血圧降下作用のあるカリウムや、抵抗力をつける鉄分、便秘の解消に役立つ食物繊維なども豊富。
旨味をアップし、食欲増進にも繋がる乾物
■干物
かつては魚介類を長く保存することが目的だったが、昨今は風味や旨味を増やすための方法としても用いられている。
<種類/作り方>
◎素干し…生の食材をそのまま天日にあてて干したもの。イカを干したスルメイカが代表的。
◎塩干し…食材を塩に浸けてから干したり、食材に塩を加えてから干す方法。アジやカマスの干物は塩干して作られている。
◎煮干し…食材を一度茹でてから乾燥させる方法で、“茹で干し”とも言われる。干しアワビや桜エビなどが煮干しで作られている。また、出汁を取るために使う“煮干し(イリコ)”は、イワシを水洗いし、食塩水で煮て乾燥させたもの。
◎焼き干し…食材を一度焼いた後に乾燥させたもの。長崎県の焼きアゴなどが有名。
その他に調味干し(食材に味をつけてから乾燥させたもの)、みりん干し(みりんにつけてから乾燥させたもの)があり、くさやなどが代表的。
<栄養面>
栄養は食材と干し方によって異なるが、例えば真アジの生と干物を比べると、干物のほうが脂質、カルシウム、ビタミンDなどが増え、塩分も高くなる。
■節類
節類とは、下処理した魚介類を薪を燃やした炉で乾燥させ、さらに乾燥させた加工食品のこと。基本的にかつおから作ったものを“かつお節”、マグロやイワシなど、かつお以外の魚を原料としたものを“雑節”という。干物とは違い、複雑で手の込んだ製造工程を経て作られる。
<種類/作り方(作業工程の中で分類される)>
◎なまり節…生切り→籠立て(籠の中に並べる作業)→煮沸→放冷→骨抜きをしたもの。
◎荒節…生切り→籠立て→煮沸→放冷→骨抜き→焙乾(薪などを燃やし、いぶして乾燥)の仕上げをしたもの。
◎裸節…生切り→籠立て→煮沸→放冷→骨抜き→焙乾→表面を削り落として形を整えたもの。
◎枯れ節…生切り→籠立て→煮沸→放冷→骨抜き→焙乾→表面を削り落として形を整える→カビ付けをして天日で乾燥したもの。
<栄養面>
節類には旨味、香り、栄養がたっぷり含まれており、特にかつお節には、たんぱく質やカルシウム、ナイアシンが豊富。
皆さんの知っている食品も多くあったと思いますが、それぞれの特徴や栄養を知ることで、ご自身やご家族の体調に合わせて意識的にメニューに取り入れるのもオススメです。次回は、今回の続きとして伝統食材を効果的に取り入れるための目安をお伝えします。次回もお楽しみに!
<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト3、4」(がくぶん)
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。
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TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)