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映画で“食”について考えてみよう18:加工食品を上手に使って食卓と健康をサポート

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映画『二ツ星の料理人』ブラッドリー・クーパー

私達の食卓には調味料や漬け物、インスタント食品など、多くの加工食品が並んでいます。加工食品の中には以前ご紹介した伝統食品といった日本食に欠かせないものもあれば、添加物や高塩分などが豊富な気を付けるべき食材もあります。今回はそんな加工食品の特徴を紹介したいと思います。

加工食品が作られた目的とは?

昔は食品を長く保存することを主な目的として作られましたが、だんだんと目的が多様化し、現在は下記の8つが加工の目的とされています。

①腐敗を防止し、長期保存をするため
②美味しさを倍増させるため
③栄養価を高めるため
④食べやすく、消化を良くするため
⑤調理の手間を省くため
⑥外観を良くするため
⑦大量生産を可能にするため
⑧持ち運びしやすくするため

また、加工食品の作り方には下記のようなさまざまな方法があります。

①乾燥させる…腐敗防止のために食品に含まれている水分を減らす。干物などの天日乾燥とインスタントコーヒーなどの人工乾燥がある。
②塩を使う…塩には微生物の成育を抑える働きと臭みを和らげる働きがある。また、塩から発生する塩素イオンが腐敗を防いでくれる。
③燻製にする…魚介や肉などをナラやカシなどの樹皮の煙でいぶす。細菌の成育を抑える成分が燻煙に含まれており、食品の保存性を高めてくれる。
④発酵させる…しょうゆや味噌などに代表される加工法。酵素をさまざまな方法で反応させて作る。
⑤冷凍する…食材の組織まで冷凍する。
⑥缶や瓶に詰める…食品を殺菌し、無菌状態で缶や瓶に詰める。
⑦レトルトやパウチにする…殺菌に耐えられるレトルトやパウチなどに調理済みの食材を入れる。

映画『二ツ星の料理人』ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー

主な加工食品の特徴と栄養

■干物、節類、野菜の漬け物、納豆→「映画で“食”について考えてみよう14:日本の伝統食品は健康の元」ページでチェック

■練り物…魚肉をすり身にし、調味料などを加えて成形し、加熱したもの。<例:かまぼこ、ちくわ、伊達巻き、はんぺん、魚肉ソーセージなど>
栄養価→良質なたんぱく質とカルシウムが豊富。練り物製品には、着色料が使われているものもあるので、成分表示の確認が必要。

<麺類>
そば…原料はそば粉。製麺業者が機械で作るそばと、そば屋などの飲食店で調理されるそばがある。製麺業者が作るそばの場合、そば粉を30%以上使っていることが「そば」と表示する条件となっている。また、挽き方によって麺の色が変わり、種類も異なる。
栄養価→「完全食」と呼ばれるほど栄養バランスが良い食材。身体を作る必須アミノ酸がバランス良く含まれていて、ビタミン類も豊富。さらに、ルチンと呼ばれるそば特有の栄養が含まれており、毛細血管を丈夫にし、血圧降下を促し、脳卒中などの出血性疾患を防ぐ効果が期待できる。

■うどん…小麦粉の中でも粘りが強い中力粉から作られている。機械で製麺されたものと、手打ちや手延べしたものがある。
栄養価→小麦粉をこねると小麦粉に含まれるたんぱく質がグルテンに変化する。グルテンは消化吸収されやすい成分のため、「うどんは食べやすく、消化に良い」と言われている。ただし、うどんだけでは栄養不足なので、肉、卵、野菜と一緒に食べるなどの工夫が必要。

■パスタ…小麦粉(デュラム小麦のセモリナ粉)と水を練って作られたものの総称。麺状のスパゲティや板状のラザニア、短いショートパスタ(マカロニなど)もすべてパスタと呼ばれる。赤や緑のパスタもあるが、ほうれん草や唐辛子などが一緒に練り込まれていることが多く、基本的には着色料の使用はない。
栄養価→糖質が主な栄養素。たんぱく質、鉄、ビタミンB1なども含まれているが、約7割が糖質。また、食物繊維も多く含まれているので、便秘がちな人にもオススメ。野菜や魚などを一緒に食べることでバランス良く栄養を摂ることができる。

映画『二ツ星の料理人』ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー/オマール・シー

皆さんにとって身近な加工食品が登場したと思いますが、いかがでしたか?忙しい日々の中で簡単に調理できる麺類は大きな味方ですし、少し工夫を加えることで栄養価もグンとアップするので、これを機にぜひ意識してみてください。次回は今回の続きで、ハムやソーセージ、パン類などの加工食品の特徴を紹介したいと思います。そちらもお楽しみに!

<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト3」(がくぶん)
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。

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★食の注目POINT!!
加工食品の1つであるうどんの聖地が舞台となっており、現存するうどん屋さんも多数登場します。気になるお店はチェックして実際に食べに行くのもオススメです。

Artwork © 2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)

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