今回は映画『土を喰らう十二ヵ月』に登場する精進料理をテーマに、食について考えたいと思います。
<精進料理とは>
仏教の修行僧の食事として生まれ、動物性の食品を使わず、野菜や穀物などの植物性の食品のみを使って調理した料理。
食の注目POINT①
主人公のツトム(沢田研二)は、子どもの頃から精進料理を学び、畑や山で採れた野菜や山菜などを使って料理をしています。本作では1年を通して季節ごとの食材が登場し、ツトムが手際良く料理をする姿が観られます。
食の注目POINT②
映画公式サイトの情報によると、本作の料理は料理研究家の土井善晴が手掛けており、食材選びや扱い方、手さばきの指導や器選びに至るまで、深く作品に携わっているそうです。ツトムと恋人の真知子(松たか子)が料理を美味しそうに食べている表情にも注目です。
<本作から得られる食の学び>
ツトムは人里離れた田舎で暮らし、幼少期に身に付けた精進料理を日々作っていて、本当に素晴らしいなと感じます。精進料理と聞くと、「体に良い」「お寺でお坊さんが食べている」といったイメージを持つ方が多いと思います。でも、本作には白いご飯とたくあん、お味噌汁といった簡単な料理も登場し、普段自分が作っている料理が実は精進料理だったことにも気づきます。
タイトルの『土を喰らう十二ヵ月』の通り、四季が移ろうなかでツトムが美味しい料理を作りながら、生活をする様子が映し出された本作。個人的には、ツトムの淡々とした日常や丁寧な料理と、周りがどんどん変化する様子にギャップを感じ、日常の些細な喜びや楽しさを思い出せてくれた気がしました。それと同時に、食べることや生きることの意味、幸せとは何なのかも考えさせられました。観る人の立場によっても観るポイントが変わると思いますが、ツトムの生活を観ることで普段何気なく食べているものが自分の体の一部になっていることにも気づかせてくれます。これを機になるべく外食を控えたり、簡単な精進料理を作ってみるのもオススメです。
ツトムの生活を観ていると、食事がいかに生きることに繋がっているのかを感じます。そして、彼の料理を食べて人々が笑顔になる姿も印象に残ります。本作にはさまざまな料理が登場するので、気になったものはできる範囲で真似してみてください。
精進料理はもちろん、季節ごとの料理を食べることは身体に良いことがたくさんあります。ぜひ下記の記事も参考にしてください。
映画で“食”について考えてみよう14:日本の伝統食品は健康の元
映画で“食”について考えてみよう17:ビタミンが多く抵抗力を高める冬の野菜
『土を喰らう十二ヵ月』
2022年11月11日より全国公開
公式サイト
日活
©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
<参考・引用資料>
農林水産省Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。
TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)