特集

映画で“食”について考えてみよう23:四季折々の食材を使った精進料理

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二/松たか子

今回は映画『土を喰らう十二ヵ月』に登場する精進料理をテーマに、食について考えたいと思います。

<精進料理とは>
仏教の修行僧の食事として生まれ、動物性の食品を使わず、野菜や穀物などの植物性の食品のみを使って調理した料理。

映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二/松たか子

食の注目POINT①
主人公のツトム(沢田研二)は、子どもの頃から精進料理を学び、畑や山で採れた野菜や山菜などを使って料理をしています。本作では1年を通して季節ごとの食材が登場し、ツトムが手際良く料理をする姿が観られます。

食の注目POINT②
映画公式サイトの情報によると、本作の料理は料理研究家の土井善晴が手掛けており、食材選びや扱い方、手さばきの指導や器選びに至るまで、深く作品に携わっているそうです。ツトムと恋人の真知子(松たか子)が料理を美味しそうに食べている表情にも注目です。

映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二

<本作から得られる食の学び>
ツトムは人里離れた田舎で暮らし、幼少期に身に付けた精進料理を日々作っていて、本当に素晴らしいなと感じます。精進料理と聞くと、「体に良い」「お寺でお坊さんが食べている」といったイメージを持つ方が多いと思います。でも、本作には白いご飯とたくあん、お味噌汁といった簡単な料理も登場し、普段自分が作っている料理が実は精進料理だったことにも気づきます。
タイトルの『土を喰らう十二ヵ月』の通り、四季が移ろうなかでツトムが美味しい料理を作りながら、生活をする様子が映し出された本作。個人的には、ツトムの淡々とした日常や丁寧な料理と、周りがどんどん変化する様子にギャップを感じ、日常の些細な喜びや楽しさを思い出せてくれた気がしました。それと同時に、食べることや生きることの意味、幸せとは何なのかも考えさせられました。観る人の立場によっても観るポイントが変わると思いますが、ツトムの生活を観ることで普段何気なく食べているものが自分の体の一部になっていることにも気づかせてくれます。これを機になるべく外食を控えたり、簡単な精進料理を作ってみるのもオススメです。

映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二

ツトムの生活を観ていると、食事がいかに生きることに繋がっているのかを感じます。そして、彼の料理を食べて人々が笑顔になる姿も印象に残ります。本作にはさまざまな料理が登場するので、気になったものはできる範囲で真似してみてください。

精進料理はもちろん、季節ごとの料理を食べることは身体に良いことがたくさんあります。ぜひ下記の記事も参考にしてください。

映画で“食”について考えてみよう14:日本の伝統食品は健康の元
映画で“食”について考えてみよう17:ビタミンが多く抵抗力を高める冬の野菜

映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二/松たか子

『土を喰らう十二ヵ月』
2022年11月11日より全国公開
公式サイト
日活

©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会

<参考・引用資料>
農林水産省Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。

TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP