特集

映画で“食”について考えてみよう3:まめに冷蔵庫内をチェックして食品ロス削減に貢献

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『もったいないキッチン』ダーヴィド・グロス/塚本ニキ

日本では、スーパーやコンビニなどが身近にあり、お金さえ出せばいつでも手軽に食材を購入することができます。でも、冷蔵庫の中にそのまま入れっぱなしで「気が付いたら賞味期限切れだった」「作ったけど量が多くて食べきれなかった」という経験が皆さんあるのではないでしょうか。今回は日本の食品ロスについてと、それを減らすために、私達が普段からできることを考えていきたいと思います。

日本は食品ロス大国

今日の日本の食料事情問題の1つとして、食べ残しや食品の廃棄が大きな問題となっています。家庭やレストランなどでの食べ残しの他に、消費期限や賞味期限切れによる廃棄が行われています。一般家庭での食品ロス率は3.7%と、一見あまり高くないと感じるかも知れませんが、食品廃棄物の約55%は一般家庭から発生するもので、企業のものと合わせると年間2550万トンの食品が廃棄されています。その中で本来食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量は、年間612万トンにもなります。これは、日本人1人当たりの食品ロス量が1年で約48kgで、毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているのと同じ量に値し、世界でもかなり高い水準となっています。現在、世界には食事が満足に摂れず、栄養不足状態になっている人が、約8億人以上にものぼると言われています。日本では、自国での生産以外に世界中からさまざまな食料を集めることができますが、豊かな食生活を送るだけでなく、多くの人が平然と食べ残しや賞味期限切れなどで食品を廃棄していることは、大きな問題となっています。

映画『もったいないキッチン』

食品ロスを減らすために私達ができること

国としては、令和元年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律(略称:食品ロス削減推進法)」が施行され、令和2年3月には、食品ロス削減推進法に基づく基本方針が閣議決定され、現在、各企業や自治体でもさまざまな取り組みが行われています。では、私達が日常でできることにはどんなことがあるのでしょうか?

<家庭で気を付けること>
■賞味期限切れの場合でも、数字に頼り過ぎず、食品をよく見て、匂いを嗅ぐなど五感で判断するように意識する。
■調理のときは、食べられる分だけ作るようにする。食材が余った時は、使い切りレシピを検索するのもオススメ!
※食材を無駄にしないレシピは料理レシピサイト“クックパッド”の「消費者庁のキッチン」にて紹介されています。こちらもぜひ活用してください。
■生ゴミとして捨てていた野菜の皮や切れ端、魚のあらなどを活かした料理作りを心掛ける。
例:ブロッコリーの茎をスライスして焼いたり茹でて食べる/大根、にんじん、ごぼうなどの根菜類の皮には栄養が豊富なので、捨てずに料理に活かして食べる/魚のあらを出汁として使うなど
■食べきれなかった食品は、冷凍などの傷みにくい保存方法を検討する。

<購入時や外食の際に気を付けること>
■買い物の前に冷蔵庫の中の在庫を確認し、食べきれないほどの食材を買い過ぎないないようにする。
■陳列商品は奥から取るのではなく、陳列されている賞味期限の順番に買う。
■食べきれる量を注文or購入して、食べ残しを出さない。
※食べ残しが出てしまった場合、ドギーバッグ等で持ち帰ることができるかどうかを事前に確認しておくのも良いでしょう。

映画『もったいないキッチン』ダーヴィド・グロス/塚本ニキ

どれも一つひとつはとても簡単なことのように感じますが、これらをすべて実践することはとても大変です。まずは意識することから始め、少しずつ習慣化していくことを目指しましょう。今年は特に新型コロナウィルスの影響で、給食になるはずだった食材や牛乳が余ってしまったり、観光客の減少や物産展の中止により各地の美味しいものが余ってしまうなどのニュースをよく見かけました。そういった余った食材を積極的に購入することも大切なことだと思います。ぜひこれを機に食品ロスについて考え、まずは自宅のストック食材から見直してみてください!

<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト1、5」(がくぶん)
農林水産省Webサイト:食品ロス
消費者庁Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。

食にまつわる映画をチェック!

映画『もったいないキッチン』ダーヴィド・グロス/塚本ニキ

『もったいないキッチン』
2020年8月8日より全国順次公開
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

映画監督であり“食材救済人”の異名も持つダーヴィド・グロスが、日本の“もったいない”精神に魅せられ、通訳兼旅のパートナーのニキと共に日本各地を旅しながら、食材を救済し、“もったいないキッチン”を各地でオープンしていくドキュメンタリー。

★食の注目POINT!!
廃棄食材だけで作られた料理は、どれも美味しそうなものばかり!そして、日本各地で廃棄食材をなくすために活動している人達がいることもわかります。

『ありあまるごちそう』
DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
食にまつわる映画特集1

120億人を養うことができると言われている世界経済状況で、飢えに苦しんでいる人がいるのはどうしてなのか?大量に作られて、大量に捨てられていく現実とその裏側にあるビジネス事情を露わにしていくドキュメンタリー。

★食の注目POINT!!
世界から見た食の問題に焦点が当てられ、食べる分と同じだけ食品が廃棄されている様子や、農業が盛んに行われている国なのに餓死者が多い国などの現状が映し出されています。

© UNITED PEOPLE ©Macky Kawana

TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP