今回は、女性の生き方に“性”が大きな影響を及ぼしたストーリーをご紹介します。実話ベースの作品から、キュートで爽やかな青春物語まで全4作、ぜひ合わせてご覧ください!
セールス・ガールの考現学
ひょんなことからアダルト・ショップでアルバイトをすることになった大学生のサロールは、店のオーナーでミステリアスな女性カティアと関わるうちにどんどん変化していきます。カティアは性的欲求を軽視してはいけないということ、性的な喜びを若いうちに知るか知らないかでその後の生き方も変わるということをサロールに伝えていきます。
このユニークなアルバイトを通して、さまざまな経験をしたサロールがどんどん綺麗になっていく姿が印象的です。そして、彼女は最後に大切なことに気づき、夢への大きな一歩を踏み出します。一見、性にまつわる話と彼女の夢は直接繋がりませんが、性的欲求や性への関心を重視することが彼女のモノの見方が変わるきっかけになっています。アダルト・ショップという設定が奇抜に思えるでしょうが、実際はとても爽やかでキュートなお話で、女性にぜひ観て欲しい作品です。
『セールス・ガールの考現学』
2023年4月28日より全国順次公開
公式サイト
センゲドルジ・ジャンチブドルジ監督インタビュー
ガール・ピクチャー
ミンミ、ロンコ、エマ、3人の女の子の日常を描いた物語。仲良しコンビのミンミとロンコは、ショッピングモールのスムージースタンドでアルバイトをしています。ある金曜日、ロンコは1人の青年に声をかけられますが、何となく誘いを断ってしまいます。一方、ミンミはアイススケーターのエマと運命的に出会います。そんな3人は3回目の金曜日を迎えるまでにドラマチックな日々を経験し、それぞれに自分の恋愛を見つめ直していきます。
恋愛において性的な相性を重視しているロンコ、大人の関係になりつつもお互いに自立も大切だと知っていくミンミとエマの成長する姿はこれから大人になっていく女の子達の好奇心や戸惑いを正直に描いています。今大切にしたいこと、大人になっても大切にしたいこと、両方を考えるきっかけに観て欲しい1作です。
『ガール・ピクチャー』
2023年4月7日より全国順次公開
PG-12
公式サイト
ベネデッタ
17世紀初めに実際にあった修道女ベネデッタ・カルリーニの同性愛についての裁判記録を基に、ポール・ヴァーホーベン監督が映画化。幼い頃から信心深く、常に聖母マリアと対話するかのごとく過ごしてきたベネデッタは6歳の時に修道院に出家します。それから18年後、すっかり大人になったベネデッタは変わらず信心深い修道女として日々を過ごしていましたが、ある1人の少女と出会ったことで、今まで経験したことのない感覚に目覚めます。
ベネデッタには、イエス・キリストからの啓示を受け取る特別な能力が目覚めたような様子と、性に目覚めた様子がほぼ同時に見られます。その2つの大きな変化が後の運命を大きく動かしていきます。修道女としての道に背いているようでいて、もう一方で深く信じるからこその突飛な行動にも見えて、真相はベネデッタ本人にしかわからないといえます。ただ、他の人間は絶対にしないであろう選択をする彼女を見ていると、やはり信心深さは並でないことがわかります。宗教と性、一見遠いところにある2つの要素が、人間を強く突き動かすものとして同時に描かれている点で、実はとても近いものであるようにも感じます。
『ベネデッタ』
2023年2月17日より全国順次公開中
R-18+
実話ベース
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私、オルガ・ヘプナロヴァー
1973年7月10日、チェコスロバキアの首都プラハの中心地で路面電車を待つ人々をトラックで轢き、8人を死亡、12人を負傷させた22歳のオルガ・ヘプナロヴァーの実話を映画化。オルガは1975年に絞首刑に処せられ、チェコスロバキアでは最後に死刑が執行された女性とされています。
オルガには自殺願望があり、映画では彼女が強い孤独感に苛まれていた様子が描かれています。また、その背景には彼女のセクシャリティも大きく関わっていたことも映画からうかがえます。いかなる理由も多くの人を犠牲にした理由にはなりませんが、彼女が抱えていたセクシャリティの問題や、上手くいかない恋愛関係は、彼女の行動に大きく影響したのかもしれないと考えると、当時も社会的に大きなインパクトを与えた出来事であっただろうと想像できます。
『私、オルガ・ヘプナロヴァー』
2023年4月29日より全国順次公開
実話ベース
公式サイト
TEXT by Myson
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