REVIEW

エルヴィス【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『エルヴィス』オースティン・バトラー

エルヴィス・プレスリーが伝説の大スターであることは知られていますが、彼の現役時代を知らない世代にとって、彼の何がどうスゴかったのかは、本作を観るととてもよく理解できます。本作の公式資料には「世界で最も売れたソロアーティスト(ギネス認定)」「1日で売り上げたレコード枚数2000万枚(世界記録)」「レコード総売上、推定30億枚」「出演TV番組視聴率82%」「ライブ世界中継視聴数15億人」とあり、これだけ並べても桁違いにスゴかったことはわかりますが、本作には彼の影響力の大きさゆえに、本人や周囲がどれほど人生を狂わされたかが描かれています。
前半はエルヴィスの生い立ちが語られ、彼がとても家族思いであることが伝わってきます。彼は黒人に囲まれて育ち、それが彼の音楽のルーツになっている点も彼の人生を振り返る上で重要なポイントとして描かれています。そして、彼が当時いかにセンセーショナルな存在だったのかは、彼が歌う姿を見て失神する女性ファンの様子などから伝わってきます。他にも今なら信じられないファンとの交流シーンが描かれていますが、それは実際に映像として残っている記録を元に再現したシーンのようです。そういう意味でも、エルヴィスを知らない世代が観るといろいろと衝撃的です。
また、エルヴィスを演じたオースティン・バトラーがすごくセクシーで、どこか母性本能をくすぐる雰囲気を醸し出しています。エルヴィスの純粋さ、人柄の良さが彼の運命を大きく左右することになりますが、そんなキャラクター性も見事に体現していて、オースティンの演技力を実感します。オースティンはバズ・ラーマン監督が本作を撮るという話が挙がった瞬間から、絶対に役を勝ち取ろうとエルヴィスについて猛勉強し、熱心に歌の練習をしてオーディションに挑んだそうです(公式資料より)。その意気込みをすごく感じる作品となっています。そして、エルヴィスのマネージャー役を演じたトム・ハンクスの悪役ぶりもリアルで迫力満点です。キャストの演技、バズ・ラーマン監督が作り出す悲壮感漂う美しい世界は、ぜひ大きなスクリーン、良い音響で堪能してください。

デート向き映画判定
映画『エルヴィス』オースティン・バトラー

エルヴィスは結婚し娘のリサ・マリーを授かっています。でも、アメリカだけでなく世界的にも大きな影響力を持ち、家族皆の面倒をみていたエルヴィスが、一般人のような生活を送れるわけがありません。本作では妻プリシラの苦悩も映し出されています。パートナーを独り占めできなければ耐えられないという方は、本作を1人でじっくり観て、自分にどんな交際が向いているのか客観視してみてはいかがでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『エルヴィス』オースティン・バトラー

上映時間が159分と長く、人種問題や宗教的な背景が理解できていないと置いてきぼりになりそうなところがあるので、キッズにはまだ難しいでしょう。脚光を浴び、世界中のファンから愛されることは一見幸せなことのように思えますが、その半面背負うものが多いこともわかります。メディアが発達し、誰でも有名になるのが簡単になった現代だからこそ誰にでも通じる部分があるので、ティーンの皆さんはぜひ観てみてください。

映画『エルヴィス』オースティン・バトラー

『エルヴィス』
2022年7月1日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

TEXT by Myson

関連記事

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優セレクションMVPを選んでご紹介します。

映画『カルキ 2898-AD』プラバース/ディーピカー・パードゥコーン/アミターブ・バッチャン カルキ 2898-AD【レビュー】

“バーフバリ”シリーズのプラバース主演、インド神話とSFが融合した物語と聞くだけで…

Netflixシリーズ『極悪女王』ゆりやんレトリィバァ ゆりやんレトリィバァ【ギャラリー/出演作一覧】

1990年11月1日生まれ。奈良県吉野郡出身。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ 『ブルータリスト』特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ブルータリスト』特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』 ソニック × シャドウ TOKYO MISSION【レビュー】

シリーズ3作目となる本作では、ソニックにそっくりな強敵シャドウが登場…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー 神は銃弾【レビュー】

ボストン・テランのベストセラー「神は銃弾」を映画化した本作は…

映画『陪審員2番』ニコラス・ホルト 陪審員2番【レビュー】

ニコラス・ホルトが演じるジャスティン・ケンプは、一見普通の青年です。彼は…

映画『ブラック・ウィドウ』スカーレット・ヨハンソン スカーレット・ヨハンソン【ギャラリー/出演作一覧】

1984年11月22日生まれ。アメリカ出身。

映画『ルックバック』 ルックバック【レビュー】

58分という尺の中にドラマが詰まっていて、すごく濃厚な…

映画『私にふさわしいホテル』のん/田中圭 私にふさわしいホテル【レビュー】

のんのコメディエンヌのセンスに唸る1作!のんが演じる中島加代子の宿敵…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優セレクションMVPを選んでご紹介します。

映画『ソルト』アンジェリーナ・ジョリー 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】個性部門

本部門で上位にランクインしたのはどの俳優なのでしょうか?2024年のイイ俳優ランキングは今回がいよいよ最終回です。ぜひ最後まで結果を見届けてください!

映画『聖杯たちの騎士』ナタリー・ポートマン 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】演技力部門

イイ俳優ランキング【海外40代編】から、今回は<雰囲気部門>のランキングを発表します。錚々たる俳優が揃うなか、総合と比べてどのようにランキングが変化したのでしょうか?

REVIEW

  1. 映画『カルキ 2898-AD』プラバース/ディーピカー・パードゥコーン/アミターブ・バッチャン
  2. 映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』
  3. 映画『神は銃弾』マイカ・モンロー
  4. 映画『陪審員2番』ニコラス・ホルト
  5. 映画『ルックバック』

PRESENT

  1. 映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ
  2. 中国ドラマ『長相思』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ライオン・キング:ムファサ』オリジナルスウェットシャツ
PAGE TOP