TOP > 部活コーナーTOP > 通常部活リポート一覧 > HERE
『だれも知らない建築のはなし』
2015年5月23日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
2015年5月22日部活実施
TSトーキョー社内にて鑑賞会&座談会
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
今回は、安藤忠雄をはじめ世界的に著名な建築家たちが語る『だれも知らない建築のはなし』を鑑賞。本作は、インタビュー形式のドキュメンタリー映画で、建築の話はもちろん、時代に伴う建築業界の変化や社会的背景なども語られています。建築についての専門的な内容ですが、今回は敢えて女子の皆さんに鑑賞頂き、どんな意見を持ったのか聞いてみました!
マイソン:まず感想をお願いします。
Aさん:最初はよくわからないなと思って観始めたのですが、途中の場面で「これは話が哲学的過ぎて、きちんと聞かないとわからない」と言っていた人もいたので、そこからは私もあまり細かいことを気にせずに観られました。建築家の人もいろいろ考えているんだなってことがわかっておもしろかったです。
Bさん:私は大阪出身なのですが、当時住んでいたところの近くに安藤さんの作品がたくさんあったんですよ。それでこの映画にも興味があったのですが、やっぱり安藤さんってほかの建築家とは違うんだなって思いました。大卒のエリートでもないし、やっていることも違うし日本の建築業界っていう括りとはちょっと違うんですね。
Cさん:私自身が建築家なので、この映画に出演していた建築家たち(古い世代の人たち)が今までにやってきたことや、それが今の建築業界にどう影響しているのかも知っているので、ちょっと批判的な目で観てしまいました。でも建築家としてやっぱりこの映画は観ておきたいなと思ったので、今回は参加しました。
Dさん:私は以前、設計の仕事をしていたので、建築家たちが話している言葉の意味はなんとなくわかりました。でも、建築業界の歴史とか、建築家同士の繋がりについては知らなかったので、これを機にもう一度ちゃんと勉強したいなって思いました。今までは、建物を見てもいつも作った人を調べるくらいだったのですが、建築家がどういう性格なのかを知った上でその人の作品を見たら見方が変わるのかもって思いました。
マイソン:そういう建物の見方はおもしろそうですね。私はあまり建築のことがわからないので、専門用語は気にせず人間ウォッチングする感覚で本作を観たんですよ。なかには皮肉屋みたいな人もいましたが、そういう人間関係ってどの業界にもあるんだなって思いました。
Eさん:なんか日本の高層ビルの話とか、欧米の建築家は褒めていたのに日本の建築家はあまり誇りに思っていなかったり、日本人の欧米コンプレックスみたいな部分が出ているところもありましたよね。私たちの知らない建築家の軋轢が見えたり、そういうところはおもしろかったです。
————その後、身近な建築の話題になり…
Fさん:一般の人って、建物や建築費用などの相場がわからないじゃないですか。その判断材料になる知識がないから、結局近所の人たちの評判とか昔からいる人に頼んでしまうんですよね。
Cさん:そういうわからないことを気軽に聞ける建築家ってあまりいませんよね。もっと一般の人と近い建築家がたくさんいても良いですよね。
Fさん:最近は建て売りが増えていますが、建ってしまってからだと直すのも大変だし、「直せません」って言われたら仕方がないなって思うし。でも建てる段階から一緒に見て意見すると意外と通ることもあるんですよね。だからこちら側も多少勉強することも大事ですよね。
Eさん:建物はみんなが住むところだから、本当は建築家って一番個人に近いはずですよね。でも大工さんとは何か違いますよね。安藤さんも言っていましたが、大工さんたちみたいな人にこそもっと光が当たるべきだって。だから学生とか建築を勉強している人たちに観てもらって、一石を投じるっていう意味ではすごく良いんじゃないかなって思いました。
————さらに関連トークで盛り上がり…
マイソン:では、どんな人に本作を薦めますか?
Dさん:建築系の学校を出た人とか、建築をちょっとでも勉強をした人には観て欲しいです。あとは地域開発の話題もあったので、地域活性化を目指す人たちが観るのも良いと思います。自分たちが重視するのは機能性なのかデザイン性なのかとか、そういうことを考えるきっかけになれば良いなって思います。
マイソン:そういう人たちにも参考になりそうですね。
Fさん:事前にこの映画に出演している建築家のことをちょっと調べて観に行くだけでも印象が変わると思います。あとは建築業界の裏話が知りたい人にオススメですね。
Cさん:私みたいなその業界の人と敢えて一緒に観て、意見を聞くのもおもしろいかも知れませんよ。
Bさん:私は、出演している建築家たちのファンの方とか、彼らの作品を知っている方に観て欲しいですね。そういう人の方がより楽しめると思います。
マイソン:建築家のファンとまではいかなくても、彼らの作品のファンが観ると良さそうですね。あとはこの映画を観ることでカッコつけたい男子にもオススメですね。
Bさん:高層マンションに住んでいる方たちとか、興味持って観られそうな気がします。
マイソン:じゃあインテリ系の方や、アート好きの人には特にオススメということですね!
ほかにも大工さんの話や、オリンピックに向けた建物についてなど、いろいろな話題が挙がり、熱く語り合っていました。建築って本当に奥が深い!
単純に建物を見るのもおもしろいのですが、本作を観て今で知らなかった建築業界の歴史や社会的な繋がりを知るとさらに建築への興味も増しますよ。ぜひご覧ください。
2015年5月23日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:石山友美
出演:安藤忠雄/磯崎新/伊東豊雄/ピーター・アイゼンマン/チャールズ・ジェンクス/レム・コールハース
配給:P(h)ony Pictures、配給協力:プレイタイム
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
1982 年、アメリカ、シャーロッツビルで、世界の超一流建築家が一同に会し、建築の未来を議論する伝説的な国際会議が開かれた。「P3 会議」と称されるこの会議に、日本からは磯崎新が 2 人の無名の若手を伴って参加。後に世界的な建築家へと成長する安藤忠雄と伊東豊雄であった…。そして 30 年後、建築家たちが初めて当時を振り返る取材に応じ、その数々の証言が現代日本建築史の舞台裏を明かしていく。2014 年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に出品され大きな話題を呼んだ「Inside Architecture —A Challenge to Japanese Society」が、追加撮影と編集を加え『だれも知らない建築のはなし』として、ここに完成。
©Tomomi Ishiyama
2015.5.22 event