2014年10月3日より全国公開/PG-12
アルバトロス・フィルム
公式サイト
1986年にフランスで刊行され、口コミでベストセラーとなり、40カ国以上の国で翻訳された、ハンガリー出身の亡命作家アゴタ・クリストフによる著書が原作。物語の舞台は、戦争末期のハンガリー。一心同体のように仲の良い双子の兄弟が、親元を離れ母方の祖母の家に疎開します。母親との関係がかなり悪い祖母に預けられた双子が歓迎されるはずはなく、彼らは自力であらゆる苦境を乗り切る方法を探っていき、自身を鍛錬していきます。彼らは他人に起きている過酷な現実を目にしたときも、自分たちが同じ状況になっても耐えられるよう、身体的にも肉体的にも子どものやることではないようなストイックさで強くなっていきます。彼らの成長ぶりは微笑ましくはありません。急激に大人にならざるをえない状況のなかで、必死に生きようとするそのもがきは恐ろしくもあります。ここまでやるのは逆に子どもの無垢さがあるからなのかも知れません。彼らの子どもらしさが失われたわけではなく、彼らのなかに子ども特有の優しさと凶暴さ、無謀さが共存しています。ラストは人間の生存本能の逞しさと恐ろしさ、双子の将来を見守りたくなるような感動の両方が押し寄せます。ストーリーはもちろん、役者たちの演技も素晴らしく、複雑な心理描写が見事です。ちなみに主人公を演じている双子のアンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマントは貧しい田舎の小さな村出身で、家庭の問題から最愛の両親、姉と別々に暮らしているそうです。そういう点で主人公たちの心情もリアルに感じながら演じていたのかも知れませんね。とにかく、心に一石を投じる必見の作品です。 |
とても良質な映画ですが観ていて心が痛くなる内容で、観るに堪えないというストレートな描写になっていなくても、劇中で起こる出来事は衝撃的なものがいくつかあり、観終わったあとにすぐに気持ちを晴れ晴れと切り替えられない可能性があります。映画に観に行くことに慣れているカップルはオーケーだと思いますが、初めてのデートや相手の好みがわからない場合はオススメできません。 |
『悪童日記』というタイトルで子どもが主人公ではありますが、子どもが気楽に観る内容ではありません。彼らのあらゆる行為は遊びではないし、そもそも生きている環境そのものが違い、生きるために戦い、怒りをぶつける手段として行われています。そのあたりをどこまで理解できるかですが、キッズの場合は大人と一緒に観てください。ティーンはある程度、理解できると思いますが、主人公たちがなぜこうならざるをえなかったのかを考えつつ、だからと言って許されないこともあることは理解して観て欲しいと思います。 |
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2014.9.22 TEXT by Myson