2018年1月13日より全国公開
ファントム・フィルム
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芥川賞作家の中村文則の傑作小説を映画化した本作。この世に悪をもたらす“邪”になるために創られた主人公という設定には、とても興味を惹かれました。そこから逃れられないように、愛する者が人質のようになっていて、主人公は愛する者を守るために“邪”の道をいくというジレンマに苦しみながら生きています。哲学的なセリフもあり、そういう点では見応えを感じたのですが、そもそも主人公の家系がなぜ“邪”として生きていかなければいけないのかまでは描かれておらず、その点では少し消化不良な感じがしました。原作ではどこまで描かれていたのか気になります。玉木宏がダークな役柄を演じていたのは新鮮で、善と悪で葛藤するキャラクターを演じた吉沢亮の存在感も印象的でした。私は原作を知らずに観ましたが、映画と原作両方観ると、より理解度が深まり、楽しめそうな気がします。 |
露骨に映ることはないですが、想像で痛々しさが伝わってくる残虐なシーンもあり、テーマがダークなので、デートにはあまり向いていないと思います。ただ、悪に身を染めても、愛する女性だけは何としても守ろうとする主人公の姿は、とてもロマンチックなので、多少激しい描写でも大丈夫なカップルは、観てみても良いでしょう。 |
レーティングは付いていませんが、大人向けのストーリーです。キッズには少々怖い設定なので、中学生以上向けかなと思います。避けられない運命を受け入れつつ、変えられる部分は変えようとする主人公の葛藤は、誰もが生きていく上でぶつかる葛藤と似た部分があります。愛する人のために自己犠牲を払う主人公の強さも、共感できる部分でしょう。上映時間138分と長めなので、集中力に自信がある人にオススメです。 |
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©中村文則/講談社 ©2017「悪と仮面のルール」製作委員会
2017.12.25 TEXT by Myson