2015年12月24日DVDリリース(レンタル同時)
バンダイビジュアル
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【Amazon.co.jp限定】海のふた (特装限定版) (菊池亜希子イラスト「とうみつくま」の特製缶バッジミラー付) [DVD]
東京で舞台美術の仕事をしていた主人公のまりが、地元の寂れた小さな街に戻り、こだわりのかき氷屋を営むというところから始まる本作。ただでさえ前途多難だと誰もが思うような場所で、珍しい商売を始めるまりの潔さが爽快でもありますが、「商売として考えたらもっとやり方があるだろう」等、いろいろな疑問も抱きつつ鑑賞しました。私自身も起業して今に至るという経験者なので、こういうストーリーを観るとどうしてもビジネス目線になってしまう自分が寂しいですが(笑)、この作品には地元への想いや、周囲との調和という点も込められていて、「商売繁盛すれば成功」というサクセスストーリーとして作られてはいないんですよね。だから「波瀾万丈の人生を送って、最後にこうなりました」というドラマチックな展開というのも正直ないですが、一方で私たちの日常で身近に起こっているようなことがここで描かれているので、感情移入はしやすいと思います。 本作では部活をやったのですが、多くの方は主人公のまりよりも、周囲の人々に感情移入したようで、私は実はまりに近いなと自覚していたので、違った視点の意見を聞くことができ、大変勉強になりました。というか反省すべき点もあるなと改めて自分を見つめ直すことができた感じですが(苦笑)、やりたいことがはっきりしていて周囲を気にせずやってみるというタイプの人にも、そういうタイプの人を身近に知っているという人も、観て語り合ってもらうのにオススメの一作です。 |
カップルでも観て欲しいのですが、本作に登場する兄夫婦は、故郷を離れ仮設住宅で暮らすというストレスもあり、決して円満ではなく、やや男性本意なセックスシーンもあります。震災や原発問題が背景としてありきの人間ドラマが描かれているので、そこまでイヤらしいシーンだと思いませんでしたが、付き合いたてのカップルだと気まずいかも知れません。付き合いの長いカップルであれば、夫婦の問題を客観的に観察しながら観てみてください。 |
大人にしかわからない事情が盛り込まれているという意味では、キッズが観るには早いかも知れません。地震や原発問題の怖さだけでなく、それらの問題が人々の気持ちにも影響するという点まで理解できるようになってから観て欲しいです。ティーンは、各キャラクターがどんな思いを抱えて生活をしているのかを考えながら観てください。兄弟、夫婦、親子など家族関係のさまざまな様子が観られる作品なので、今いる家族のことを思って観ても良いですし、将来どんな家庭を築くのか想像しながら観ても良いと思います。 |
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©2015 よしもとばなな/『海のふた』製作委員会
2015.12.14 TEXT by Myson