2015年3月13日より全国公開
ギャガ
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エニグマにまつわる映画はこれまでもいくつか作られてきましたが、本作は50年間も英国政府が隠していた事実を映画化した作品ということで、観ていてその内容に本当に驚きました。暗号解読という言葉の響きから小難しい内容を想像していましたが、焦点はどちらかというと、暗号を解読したチームメンバーたちに当てられており、ドラマ性が強い作品です。今回、本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたベネディクト・カンバーバッチが演じたのはアラン・チューリングという天才数学者。かなりの切れ者で、周りからは変わり者と見なされ、コミュニケーションが苦手だけれど、心に優しさを秘めた複雑なキャラクターを見事に演じています。カンバーバッチってこういう天才肌が本当にピッタリですね。シャーロック・ホームズも、本作のアラン・チューリングも、“天才で変な人”をやらせたらピカイチです。そしてカンバーバッチだけでなく、アラン・チューリングの少年時代を演じている子役の演技も印象的でした。なぜ、合間合間に少年時代の回想があるのか不思議だなと思っていましたが、あまり関係性を予想していなかったところに、彼の少年時代の辛い体験などが絡んでくる展開にはハッとさせられました。とても機械的な人間に見えるアラン・チューリングが、どうしてこんな大人になったのかが、こういうところで巧妙に語られていくのも憎いです。そして、暗号解読が目的でありながらも解読できたら一件落着というわけにもいかない問題まで物語は及び、かなり見応えのあるストーリーでした。 本作には、カンバーバッチ他、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロングなどイギリスの名優が勢揃いしている点も魅力です。ある意味で、ラブストーリーとも言える人間ドラマ。ぜひ女子にも観て欲しい作品です。 |
恋愛系の気まずいシーンもなく、友達以上恋人未満からベテランカップルまで、男女問わずデートで観ても楽しめる内容です。暗号解読がテーマとはいえ、主軸は人間ドラマなので、それほど頭を使わなくても楽しめますが、逆にそういう暗号解読の部分に深く興味を抱く相手を誘うなら、解読のきっかけとなる出来事やセリフ、戦争における駆け引きなどについて、ある程度の理解力で観る必要が出てくるかも知れません。気楽なスタンスで観たいか、ガッツリ語り合いたいか、どちらのスタンスで本作を楽しみたいかに寄って、誘う人を選んでみると良いのではないでしょうか。 |
キッズには少々難しい内容かも知れませんが、ティーンならば問題なくついていける内容です。解読にまつわるロジックよりも、解読をしようと悪戦苦闘する人間達の物語の方が深く語りかけてくるテーマがあるので、ぜひそこに注目して観て欲しいと思います。また、解読すればオーケーということではなく、情報をどう使うかという戦略も、興味深いものがあります。戦時中の国と国との駆け引きなどにも目を向けると、少し歴史がおもしろく感じられると思いますよ。 |
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