2015年11月28日より全国公開
松竹メディア事業部
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演劇界の鬼才と言われる福原充則の初監督作品。物語の前半はほとんどのシーンがカレー屋の店内で展開され、舞台演劇を観ているような感覚で楽しめます。それが同時にこじんまりした世界観にも思えるのですが、とても身近にある日常を演出しているという点では成功していて、そんな空気にある意味油断していると、巧みなセリフ展開で、いつの間にか混沌とした状況に放り込まれてしまいます。で、ほのぼのとした物語なのかと思いきや、とんでもない展開になっていき、最後はまさかの大スケールに(笑)!この作品はなるべく情報を入れずに、あらすじなども知らずに観た方が驚きの展開をより楽しめると思うので、ここでも詳しく言わずにおきますが、すっごくちっぽけなやりとりが、最後にジャンルをも超えるスケールに大きくなってしまう大胆さと、良い意味でのくだらなさに圧倒されました。そして、そのギャップが滑稽でとても笑えます。後半は映像的にも映画らしくなっていき、アホさも全開になっていきます。なんでこんなタイトルが付いているのかなと思っていたら、最後にちゃんと答えもあって、“どうしようもないな”と呆れる思いと、“してやられた”という感覚が絶妙なバランスで襲ってきます。黒川芽衣が演じる主人公のとんでもない主張が何だか正当に思えてきてしまう勢いもあり(笑)、愛だの平和だの叫ばれている現代だからこそ、こういうクレイジーな主張もあり得るのではと思えてしまいます。何かで悩んでもやもやしている方に、ストレス解消にオススメのおバカ映画です。 |
気楽に笑える映画なので、デートで観ても楽しいとは思いますが、最近浮気問題などで揉めたカップルは、この物語の展開が、2人の現実にどう作用するか予想できないので、吹っ切れていないあいだは一緒に観るのはやめておいたほうが良いでしょう。そういう相手に悩まされた過去があるけれど今は立ち直りつつある人は、友達と観に行って過去を笑い飛ばし、新しい恋に進みましょう。 |
子どもに見せるべきではないエロチックなシーンは無いですが、セリフから連想させる大人の世界はまだ子どもに見せるには早いかなと思います。大人向けのユーモアがふんだんにあるので、観るなら高校生以上のほうが良いでしょう。特に男子にとって、恋愛における、ちょっと苦い現実もシミュレーションしてしまうことになるかも知れませんが、女性が皆が皆、こうではありませんので、恋愛経験の無い男子は特に思い混みが激しくならないように、エンターテイメントとしてシンプルに楽しんでください。 |
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2015.11.24 TEXT by Myson