2018年11月9日より全国公開
クロックワークス
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まず冒頭の、趣里が演じる寧子と、菅田将暉が演じる津奈木のシーンを観ただけで、物語にグッと引き込まれるはず。寧子のヒステリックな態度がすごくリアルで本気でイラッとさせられると同時に、男女のこういうやり取りってあるな〜と思えて、親近感や共感は沸かなくても、誰にでも通じる物語が描かれるだろうとわかります。恋愛関係だけでなく、複雑な人間関係の描写も巧みで、私達の日常に溢れているけれど、目をつむってやり過ごしているような出来事を、容赦なくぶつけてくる作品です。一見良い人に思えるけど無意識に人を傷つけている人や、うまく立ち回れずに人の言葉を真正面から受け止め過ぎてもがいている人など、どれも自分の一部に当てはまると思えることばかりで、観ていてかなり辛くなりますが、そんななか主人公はどう生きていくのかを見届ける価値がある作品です。 そして、役者達の素晴らしい演技も本作の大きな魅力で、不安定な感情を見事に演じた趣里、徐々に生気を失っていく男性の変化をリアルに表現した菅田将暉、クレイジーなキャラクターを演じた仲里依紗と、どのキャラクターも印象的でした。映画好きは必見です。 |
一方がうつ病を患っているという設定もあるので、純粋に恋愛関係の変化だけを描いているわけではありませんが、うつ状態になっていなくても、恋人同士、夫婦のあいだで、こういう会話はありそうだなと思えるシーンがいくつも出てきます。なので、ラストまでの9割はほとんど辛いと思えるかも知れませんが、最後は救いがあるので、観終わった後は清々しい気持ちになれるでしょう。初デートや交際ホヤホヤカップルにはオススメしませんが、関係が落ちついてきたら、将来こういう試練があるかもと覚悟するために観ても良さそうです。 |
人間の複雑さが大いに描かれているので、キッズにはまだ理解が難しく、観るには早い内容に思います。ティーンの皆さんは、いろいろな面でだんだん独り立ちして、社会と向き合っていく時期にあるので、少し内容が重いですが、学べる部分もあると思います。闇だけではなく、光も描かれてはいますが、思い悩んでいる状態で1人で観ると余計に辛くなる可能性もあるので、誘える友達がいたら一緒に観て、自分の辛い気持ちを吐露するきっかけにするのもアリかも知れません。 |
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2018.10.31 TEXT by Myson