2015年1月24日より全国公開
ビターズ・エンド
公式サイト
ロンドンのケニントン地区の民生係として22年勤続し、亡くなった人を“送る”仕事をしている主人公のジョン・メイ。彼は亡くなった人の遺族を探して連絡をしたり、その人の宗教に合わせた葬儀をしたり、毎回とても丁寧に“おみおくり”をします。でも突然人員削減のため解雇されることになり、彼は最後に担当する亡くなった人の家族を探すため、ロンドンを出てイギリス中を渡り歩きます。妻子はおらず、毎日本当に規則正しく質素な生活を送っているジョン・メイにとって、この旅はある種の冒険。そして、自分の仕事へのプライドをかけた旅でもあります。でも、この映画の本題は彼のプライドを証明することではないのが意外なところ。1人の孤独な人間が仕事を真面目にこなすことで生活の隙間を埋めているという切ない面を描く一方で、パターンを崩されることで不安と共に動かざるを得ない状況に世界が開けて希望が生まれてくるという人生のおもしろさを絶妙に描いています。ラストは皮肉たっぷりにも思えますが、愛に満ちているとも言える内容。優しい作品に見えて、かなり苦みが利いている点も本作の魅力です。独りぼっちで平穏な毎日を好んでいても、それすら保証されるわけではないし、誰かと過ごす人生はちょっと面倒だけれど、やっぱり一緒に笑ったり泣いたりできる人がそばにいる方が良いなと実感させてくれるストーリー。死にも、その人の人生が表れるということも描いていますが、大切な人を見送るときにまた思い出したいです。 |
亡くなった人を見送るお話なのでしんみりはしますが、誰かと共に生きるということを考えさせられる内容なので、カップルで観るのも良いでしょう。ただ、静かに展開する映画なので、派手さはありません。起伏の激しいドラマチックな映画しか観たことがない人にとっては少々物足りないと感じるかも知れません。好みは少々分かれるタイプの映画なので、観終わったあとに意義のある会話を期待する場合は、それなりの理解力がある人を誘いましょう。 |
キッズにはまだしっくりこない内容なので、もう少し大人になってから観ると良いでしょう。ティーンでも身近な人を亡くしたことがなく、お葬式にも出たことがない人にはピンとこないかも知れませんが、亡くなった人を見送るということの重要さは感じてもらえる内容です。誰かの死と真剣に向き合わなければいけない時期はまだ先かも知れませんが、同時に自分がどう生きたいかも問う内容なので、家族や大切な友達と一緒に観て、感想を話しあうだけでも意義がありますよ。 |
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