2014年1月25日より全国公開/R-15
クロックワークス、コムストック・グループ
公式サイト 予告編
まさか、こんなに激しい映画だとは思っていませんでした。目を覆いたくなるようなシーンもあり、終始ドキドキハラハラしながらでしたが、描かれているテーマ自体はとても哲学的で、ただ暴力的な映画というわけではない点が興味深いです。兄ビリーの常軌を逸した犯罪、それを制裁し利用して全てを支配しようとする謎の男チャンの横暴、被害者側の復讐に巻き込まれた主人公ジュリアンの因縁の復讐、これらが絡みあい、ジュリアンが最終的に出した結論はとても意味深いものに感じました。ここで描かれる暴力には3種類あって、一つは快楽を得るための暴力、二つ目は制裁のための暴力、三つ目は防衛のための暴力。この暴力にまみれた日々のなかで、ジュリアンは自分のなかにある問題をある意味解決するに至ったのだと私は解釈しました。兄を溺愛していた母と、その母に母が望む価値観や生き方を強要されてきたジュリアン。この2人の関係が本作ではキーとなり、同時に謎の男チャンの親子も対比で描かれることで、ジュリアンの心の中の変化を想像させます。劇中何度かジュリアンの妄想の世界と思われるシーンがあるのですが、クライマックスでチャンとジュリアンのシーンはかなりショッキングです。このシーンが妄想なのか実際のシーンなのかも気になりますが、どちらにしてもこの衝撃的なシーンが意味するものは、不思議なことに何か2人のあいだで通じるものがあったとすれば、親子愛に重きを置いているということだったのではと思います。 暴力シーンがかなり激しいので、女子は苦手な人がいるかも知れませんが、とても見応えのある作品です。ライアン・ゴズリングは相変わらず超カッコ良くて、クリスティン・スコット・トーマスが演じる母もすっごく不気味で怖いので、そういう点もぜひ注目して観てください。 |
両人とも過激な映画に慣れている、観たいというなら良いと思いますが、痛々しいシーンがかなり多いので、年に数回しか映画を観ないカップルにとっては、デートで観るのは厳しいでしょう。そしてわかりやすいストーリーというわけでもなく、最後も後味が良いとは限らないので(受け取り側の解釈に寄りますが)、鑑賞後にすぐにテンションが上がる雰囲気にもならないと思います。ただ、どう解釈したかというので語りたくなる映画ではあるので、哲学的な映画、抽象的な描写の作品が好きなカップルは観てみてください。 |
R-15ですが、高校生以上のティーンにも刺激が強い作品です。ただの残虐な映画だと解釈して観て欲しくない映画ですが、セリフが少なく抽象的な描写が多いので高い理解力が求められます。結局何が言いたかったのか、誰かと話し合えると良いので、親子で観るか、せめて友達と観て欲しいです。テーマは深いですが、大人になってから観た方がより楽しめそうな作品です。 |
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