2016年10月29日より全国順次公開
ギャガ
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92歳で子どもや孫達から大事にされている主人公のマドレーヌ。一見幸せそうに思えますが、日々の生活の辛さは本人にしかわからないようで、彼女は早く逝きたいと思っています。彼女はいつ“どうやって旅立つ”かを決めていて、その意志を子ども達に伝えますが、理解してもらえるはずはありません。観ているこちらも自分の母が同じ事を望んだらどうするだろうと考えるのですが、若い頃のマドレーヌについて知れば知るほど、なぜ彼女が自らの命を意図的に終わらせようとするのか理解できません。でもオールラストに出てくる一文を読んで、ガラリと観方が変わります。彼女は生きることから逃げていたのではなく、最後の戦いをしていたのです。その真相がわかった瞬間、つかえていたものがス〜っとした気分になりました。これはフランスの元首相リオネル・ジョスパンの母ミレイユが2002年に実行した決断を映画化した作品。死に様は生き様であると実感させられる映画です。 |
PRに使われている美しく明るいビジュアルからは想像できない“重さ”がある作品で、デートの浮かれた気持ちを一変させるテーマが描かれています。ただ、お互いの価値観をよく知る上で、本作を一緒に観て感想を述べ合うのは有効だと思います。友達以上恋人未満、付き合いたてのカップルはここまでの話をするのは少しヘビーだと思いますが、結婚を前提に交際中のカップルやご夫婦は一緒に観てみてください。 |
キッズにはまだ難しい内容なので、大人になってから観ましょう。高校生くらいになれば、こういう価値観もあるという事実を知っておくのも良い勉強になると思います。92歳で自分がどういう状態になっているか、まだまだ想像できないと思いますが、“最期まで自分らしく生きたい”と思っている人にとって、どういう最期なら満足するのか、今は想像してみるだけでも考える価値はあると思います。 |
©Richard Blanshard
2016.10.17 TEXT by Myson