2014年12月12日より全国公開/R-15
20世紀フォックス映画
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“衝撃の結末”はいくつも観てきましたが、本作には「この程度の衝撃かな」と思った先をいく展開が待っていました。いろんな意味でおぞましい人間の醜い姿、同時に人間の強さ、野性味を描いているとも言っていい内容でした。妻が突然失踪し、やがて夫は殺人犯として疑われ…という展開にある程度の予想はつきますが、オモシロくなるのはそのあと。観終わった後で、「結局のところ、愛するとはこういうこと?」「結婚ってそういうもの?」という悟りに行きついた気にもなりつつ、はたまた「こういう姿も一種の幻想に過ぎない」という、ある種の現実逃避的願望も出てきて、良い意味での困惑をもたらしてくれます。 デヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』『ドラゴン・タトゥーの女』に比べ、尖がったスタイリッシュさはありませんが、ドラマ性が強く、ベン・アフレックとロザムンド・パイクの演技力が光っています。特にロザムンド・パイクは、これまでの役柄の印象を払拭させる演技で、女優としての幅を感じました。ベン・アフレックも役者として伸び悩んでいた時期がありましたが、もう完全に壁を打破した印象で、この年齢だからこそ出せる良い味を出しています。149分という尺を感じさせないほどに密度が濃く、充実感を味わえる作品。映画としても、男女関係、結婚の哲学としても観ておかなければいけない作品だと思います。 |
まず結婚を意識しているカップルは注意です。男性は特に結婚したくなくなる内容です(笑)。これからまさに結婚話を進めたい相手は誘わないでおきましょう。また現実的にマリッジブルーに陥っているときや、一方がすごく結婚したくて片方は渋々結婚に持ち込まれたような状況の婚約中カップルは男女ともに今観るべきか考えた方が良いでしょう。ますます悩みが深くなる可能性があります。逆に円満過ぎるカップルは、刺激を得る意味で観てみるとオモシロいかもしれません。「自分たちはまだマシ」と思って笑えるか、目をそらしていた現実を突きつけられて元に戻れなくなるか、安全の保証はできませんけどね(笑)。リスクを負いたくない人は、友達と行くか1人で行きましょう。 |
R-15なので、15歳未満のキッズ、ティーンは観られません。主なテーマは男女関係、結婚なので、15歳以上のティーンでもピンとこない部分があるかも知れませんが、大人になるとこういうこともあるのだなと、人生の勉強がてら客観的に物語を楽しんでもらればと思います。サスペンスとして、からくりを考えながら観るのも一つの楽しみ方です。内容的に大人の方が悶々と考えにふけってしまう可能性があるので、親と行くよりも、友達と一緒に観に行く方が良いでしょう。 |
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©2014 Twentieth Century Fox
2014.11.22 TEXT by Myson