2015年9月5日より全国公開/PG-12
クロックワークス
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いや〜久々に怖い映画を観たなと、鑑賞後はドッと疲れました。ホラーの怖さとは違う怖さ、実際にどこかの国で起きてもおかしくないリアリティがありました。でも監督は『デビル』『REC:レック ザ・クアランティン』などホラーのヒット作を生んだジョン・エリック・ドゥードゥルということで、こういった恐怖を描くのが得意なんでしょうね。 「外国人が皆標的にされる」という発想がどこから出てきたのかと思っていたら、「他国を支援するという体裁で介入してくるが、それは私服を肥やそうとする外国の画策である」という事情が絡んでいて、それに対して国民がクーデターを起こしているわけですが、政治的要素が多く含まれている点でも現実味を増しています。そして何が怖いかというと、やっぱり一般の群衆が暴徒化している点です。だから本当に逃げ場が無く、ラストがどうなるのかは検討もつきませんでした。映画の舞台になっている国名を具体的に公表していないのが逆に気になったので「ベトナム国境」「毛沢東通り」等のキーワードで検索してみましたが、どの国のことなのかは想像できました(伏せられているのでここでも敢えて書きませんが)。 海外赴任ってカッコ良いなと思いますが、こういう映画を観ると行く国と自国の関係は知っておくべきだなと、平和ボケに警告を鳴らされる内容でした。ただ海外旅行に来ただけのつもりでも、土地の人は私たちをどういう目線で観ているかわからないものです。もちろんこれが全てでは無いですが、旅好きな人は特に観ておいて欲しい一作です。 |
ほぼ最初から最後まで人がどんどん殺されていくし、主人公たちはひたすら逃げているので、緊張感が半端ありません。穏やかに観られる映画ではなく、ハラハラドキドキの種類もアドベンチャーのように前向きなタイプではないので、デート向きなのかは疑問です。ただ夫婦が子ども達を守りながら生き抜こうとする様子は、夫婦の絆を客観視するきっかけにはなりそうです。 |
キッズには刺激的な内容なので、大人になってから観た方が良いでしょう。この映画はフィクションですが、これを機にあらゆる国の国家間の関係について興味を持ってもらえればと思います。手始めに日本とどこかの国について調べても良いでしょうし、この映画の舞台になってそうな国を想定して、どんな産業が主流で、どんな分野で困窮しているのかなどを知るのも良いでしょう。国家間の関係だけでなく、海外企業の支援状況と現地の関係性についてまで調べられれば、教科書には載っていない社会の勉強にもなると思います。 |
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2015.8.25 TEXT by Myson